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苛立つ
「苛立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苛立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
い心に慎重になっていたのだ。美しい景色をみて陶酔することを恥じる余り、その景色に
苛立つのと同じ心の状態で、彼は赤井の若さに苛立っていたのである。豹一は告白という....
「縮図」より 著者:徳田秋声
るので、一口二口呑んでみても口に苦く、三味線を弾かれても陽気にはなれないで、気を
苛立つばかりであった。松島は待ちきれず、つかつか廊下へ出て女中を呼び、病気か遠出....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
益じゃないか。」 「それが先生の利己主義というものよ。私もうここにいられない。」
苛立つときの彼女の神経は、彼にはいつでも堪えがたいものであった。 「じゃ勝手にす....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
そろ》しいと思った。彼は妙な気持からこっそりと部屋じゅうを歩いた。そうしてかなり
苛立つ気持が落着いたと思った時、彼は服を脱ぎはじめた。彼はワイシャツを脱ごうとし....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、ただもう蒸し暑く、電気を含んだ空は、嵩にかかって嚇かしつけるようで、感情ばかり
苛立つ、そうして存外に近い山までが、濃厚な藍※色や、紺色に染まって、緑と青のシン....
「青年」より 著者:森鴎外
って来させたビイルを、舐めるようにちびちび飲んでいた。 初音町の家を出るまで、
苛立つようであった純一の心が、いよいよこれで汽車にさえ乗れば、箱根に行かれるのだ....
「日輪」より 著者:横光利一
羅の肉体は弱っていた。彼は焦燥しながら鶴と鶏と山蟹の卵を食べ続けるかたわら、その
苛立つ感情の制御しきれぬ時になると、必要なき偵察兵を矢継早やに耶馬台へ向けた。そ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
呼ばるるに応えて、 「はい。」 とのみ。渠は判然とものいえり。 尉官は太く
苛立つ胸を、強いて落着けたらんごとき、沈める、力ある音調もて、 「汝、よく娶たな....
「「自然」」より 著者:豊島与志雄
るにも拘らず、それを不注意にも落葉と共に崖地に撒いた家人の無神経さに対して、私が
苛立つのは、
苛立つ方がいけないのであろうか。 さはあれ、落葉の上を一人で歩くの....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
調和を夢みてもいる。然し或る人間に当面し或る事実に当面すると、すぐに嫌気がさして
苛立つ。現実に対する適応性が全くなく、常に孤立感に囚われる。そしてその孤立感のな....
「言葉の不思議」より 著者:寺田寅彦
い場合の一致である。ロシアの serditi もやはりいくらか似ているのである。
苛立つが irritate(L.irritare) に似ていることは明白である。....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
さに狼狽するのである。感動を強いる対象と感動しない自分、――その二つの間の距離に
苛立つのである。孤独というやつだ。 ベッドの端に、信吉と並んで掛けると、伊都子....