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「苛辣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苛辣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
清逸は上京の相談で家に帰りはしたが、自分の健康が掘りだしたばかりの土塊のような苛辣《からつ》な北海道の気候に堪えないからとは言いたくなかったので、さらに修業を....
遁走」より 著者:葛西善蔵
か、それは私には分らない。何となれば今度の笹川の長編ではモデルとして佐々木は最も苛辣な扱いを受けている。佐々木に言わせれば、笹川の本能性ともいうべき「他の優越に....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
、討取る首数六百八十余だったと云うから、城攻としては非常に短い時間の、随分激烈|苛辣《からつ》の戦であったに疑無い。 政宗は謀った通りに氏郷を遣り過して先へ立....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
寝るにも起きるにも、自分ばかりを凝視《みつ》めて暮しているような、年取った母親の苛辣《からつ》な目が、房吉には段々|厭《いと》わしくなって来た。そして何時の頃か....
朝やけ」より 著者:豊島与志雄
て、結局は何も出来ないのだ。酔った揚句に男でも女でもなくなるのと同様だ。敗戦後の苛辣な世の中に、こういう文化人……彼もまあ一個の文化人だろう……それが残存してい....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ひそかにたくらむ、利己的な浅薄な苦しみである。クリストフは古い書物から立ちのぼる苛辣《からつ》な息吹《いぶ》きに、元気づけられた。シナイの風が、寂寞《せきばく》....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れ、自分の仕事に心を奪われ、仕甲斐《しがい》のない職業のためにたいていは多少とも苛辣《からつ》になっていて、オリヴィエが自分らと異なったことをやりたがるのを許し....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ものも、いかに憐《あわ》れみの微笑でながめられることであろう! 力強い人生とその苛辣《からつ》な努力とについても、もはや眼にはいるものは、不滅らしく思える一時の....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
まりつつあった。 この町では、謝肉祭は、この物語の起こってるころまでは、放縦|苛辣《からつ》な古い性質をなおもっていた――(その後になると非常に変わってはきた....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に無理なものとなる恐れがある。 クリストフは、この溌溂《はつらつ》たる率直さの苛辣《からつ》な新鮮味を賞美した。そして常に身を危うくすることを恐れ然りとも否と....
反抗」より 著者:豊島与志雄
」 周平は、頭の上から落ちかかってくる叱責の言葉を、一語々々味っていった。その苛辣な味に心を刺されることが、今は却って快かった。どうせ踏み蹂ってしまわなければ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の旅心は極度の暴圧を蒙《こうむ》っている。古来、人間に加えられた重大なる抑圧と、苛辣《からつ》なる課税の筆頭は恋愛でありました。 石巻へ来て、ともかく、ここで....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
かった。彼の鼻の先が反返《そりかえ》っているごとく、彼は剽軽《ひょうきん》でかつ苛辣《からつ》であった。余はこの鼻のためによく凹《へこ》まされた事を記憶している....
探偵小説と音楽」より 著者:野村胡堂
近代探偵小説に一つの型を与えた、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」は、あの苛辣冷静な性格に似ずヴァイオリンをよくし時には助手のワトソン博士に一曲を奏でて聴....
文芸時評」より 著者:宮本百合子
判二百九十余頁に亙るトロツキーの「絢爛たる文彩、迫撃砲の如き論調、山積せる材料、苛辣なる皮肉」が結局「どんなに善意に解釈しても、ソヴィエットの社会主義的進化の実....