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若葉
「若葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
若葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
たかと思うばかり、跣足《はだし》を力なくひきずりながら、まだ雲切れのしない空に柿
若葉の※《におい》のする、築土《ついじ》つづきの都大路《みやこおおじ》を、とぼと....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
》っている。窓の外の風景もやはり静かさには変りはない。曇天《どんてん》にこぞった
若葉の梢《こずえ》、その向うに続いた鼠色の校舎、そのまた向うに薄光《うすひか》っ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
彼はすぐに振り返った。しかし後には夕明りが、径《みち》を挟んだ篠懸《すずかけ》の
若葉に、うっすりと漂《ただよ》っているだけだった。
「御主《おんあるじ》。守らせ....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
した。
自分は新たに来た客とジョルジュ・サンドの話などをしていた。その時庭木の
若葉の間に二つの車の幌《ほろ》が見えた。幌は垣の上にゆらめきながら、たちまち目の....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
自分は、大川端《おおかわばた》に近い町に生まれた。家を出て椎《しい》の
若葉におおわれた、黒塀《くろべい》の多い横網の小路《こうじ》をぬけると、すぐあの....
「路上」より 著者:芥川竜之介
だの生活だのの叙述が、到る所に美しい詠歎的な文字を並べていた。磯山《いそやま》の
若葉の上には、もう夏らしい海雲《かいうん》が簇々《ぞくぞく》と空に去来していると....
「白」より 著者:芥川竜之介
雨上《あまあが》りの空を映している往来《おうらい》の水たまりを恐れました。往来の
若葉を映している飾窓《かざりまど》の硝子《ガラス》を恐れました。いや、カフェのテ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》かな姿を浮べていた。ところが草山がやや平《たいら》になって、一本の楡《にれ》の
若葉の下に、夕日を浴びた部落の屋根が一目に見えるあたりまで来ると、そこには四五人....
「或る女」より 著者:有島武郎
子を年《とし》不相当にませた女と見るほうが勝手だったから。
それは恋によろしい
若葉の六月のある夕方《ゆうがた》だった。日本橋《にほんばし》の釘店《くぎだな》に....
「或る女」より 著者:有島武郎
とえ》桜の花とまじって無残に落ち散っていた。桜のこずえには紅味《あかみ》を持った
若葉がきらきらと日に輝いて、浅い影を地に落とした。名もない雑木《ぞうき》までが美....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。 芸妓家二軒の廂合で、透かすと、奥に薄墨で描いたような、竹垣が見えて、涼しい
若葉の梅が一木、月はなけれど、風情を知らせ顔にすっきりと彳むと、向い合った板塀越....
「海異記」より 著者:泉鏡花
き夜半の頃、寝衣に露を置く事あり。もみじのような手を胸に、弥生の花も見ずに過ぎ、
若葉の風のたよりにも艪の声にのみ耳を澄ませば、生憎待たぬ時鳥。鯨の冬の凄じさは、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
その蒼沼は…… 小高い丘に、谷から築き上げた位置になって、対岸へ山の青簾、青葉
若葉の緑の中に、この細路を通した処に、冷い風が面を打って、爪先寒う湛えたのである....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
娘に過ぎなかつた。 三 黄色い煙がたなびいたように青空いつぱいに
若葉をひろげた欅の木かげの家は、ヒツソリとして人気がなかつた。 ちようどまもな....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ていない。ただそれ等の墓の前に柿か何かの若木が一本、ひょろりと枝をのばしたまま、
若葉を開いているのは哀れだった。 僕等は回向院の表門を出、これもバラックになっ....