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苦しゅうない
「苦しゅうない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦しゅうないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
た。藻はその背景の前に小さくうずくまって、うやうやしく土に手をついた。 「いや、
苦しゅうない。これへ召しのぼせて藁蓐《わらうだ》をあたえい」と、忠通はあごで招い....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。直参旗本早乙女主水之介が借りると言うなら文句はあるまい――こりゃそこの陸尺共、
苦しゅうないぞ、そのように慄えていずと、早う行けッ」 威嚇するかのごとくに言い....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
方のないものさ。これだけで足りずば屋敷へ使いを立てて、あと二三百両程取り寄せても
苦しゅうないが、存じていたら、そち達の寺場に案内せぬか」 「そりゃ、ぜひにと言え....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
卑しく厚い仲居でした。 「何じゃ」 「折角でござりまするが、今宵はもう……」 「
苦しゅうない!
苦しゅうない! 遊んでつかわすぞ」 「いえ、でも、あの、今宵はも....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
らくうきめに会わせてふびんであった。上の疑いは晴れたぞッ。立ちませい! 帰っても
苦しゅうない、宿もとへさがりませい!」 森厳、神のごとき声でした。いっせいにざ....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
りませ。 (竹の皮包の握り飯を出す) 刑吏一 いかが、いたしましょう。 刑吏の長
苦しゅうない。甚兵衛に与えてつかわせ。 刑吏一 (甚兵衛に与えながら)村の衆の志....
「海底大陸」より 著者:海野十三
王さまとクーパーのみょうな初対面がはじまることとなった。 「おお、クーパー君か。
苦しゅうない。もそっとこれへ」 クーパーは笑いたいのを一生けんめいにがまんした....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
。先日よりの汝の振舞い、時に能く忍びて神妙じゃ。今より飛行の術及び忍術を用いても
苦しゅうないぞ」 と、思いがけぬ言葉に、はッ、かたじけのうござりますと、いきな....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
「いや、こちらのことよ。食物は諸事ずんと贅をつくしてな。なに程|高価なものとても
苦しゅうない。充分に用意いたせよ」 事起らばそれまた一興、不審の雲深ければさら....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
けのした町家有ちの若新造でした。 「ほほう。見たことも会うたこともない者共よ喃。
苦しゅうないぞ、縁へ上がって楽にせい」 「いえ、もう、御殿様に御目通りさえ叶いま....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
内かは存ぜぬが、さだめし御領主は名君と見ゆるな。近頃心よい百姓に会うたものじゃ。
苦しゅうない、
苦しゅうない、存分に浴びさせてつかわしたらよかろうぞ」 「有難うご....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
娘らしく思われたのであった。 「おう、能う来てくれやった。さッ、早う。その方でも
苦しゅうない。ここへ来て、毒虫に螫された後の、手当をしてくれやいのう」 ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
言うてもよろしゅうござりまするか。」と、小坂部はあらためて念を押した。 「おお、
苦しゅうない。お身は優美の生まれ立ちじゃで、婿は公家かな。」 「いえ、そうではご....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
なしになったぞ。あてこともねえ、どうじゃ、切ないかい、どこぞ痛みはせぬか、お肚は
苦しゅうないか。」と自分の胸を頑固な握拳でこツこツと叩いて見せる。 ト可愛らし....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
派でよけれど腹の中では泣きたいようなことばかり、いっそ穴鑿りで引っ使われたほうが
苦しゅうないと思うくらい、その中でどうかこうか此日まで運ばして来たに今日休んでは....