苦にする[語句情報] » 苦にする

「苦にする〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦にするの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
言いのかい。なんだねえ、報恩《おんがえし》ができるの、できないのと、そんなことを苦にするおまえさんでもなかろうじゃないか。私だって泥坊に伯父《おじ》さんがあるの....
こころ」より 著者:夏目漱石
眼を開《あ》けて見極《みきわ》めようとすると、やはり何《なん》にもない。奥さんの苦にする要点はここにあった。 奥さんは最初世の中を見る先生の眼が厭世的《えんせ....
坑夫」より 著者:夏目漱石
して、長蔵さんを恐ろしがったのは、免職になりながら俸給の差《さ》し押《おさえ》を苦にするようなものであった。長蔵さんは教育のある男ではあるまいが、自分の風体《ふ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
十四 少時――主税ももう口を利こうとは思わない様子になって、別に苦にする顔色でもないが、腕を拱いた態で、夫人の一足後れに跟いて行く。 裏町の中....
」より 著者:鷹野つぎ
しかなかった。お互いの顔を見合う日は最も気分のいい日で、私は病児の髪の伸びたのも苦にするほど何か楽しい母ごころに、不幸な濁流に抜手をきっているような、さなかの逼....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ん》するは何故《なぜ》であろう。わけのわからない話であるが、竜之助は、このことを苦にする。 大和国八木の宿。 東は桜井より初瀬にいたる街道、南は岡寺、高取、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《いぶか》る者もありますけれど、少しく頭を冷やかにして地理を案ずれば、その区別は苦にするほどのことではありません。 人跡《じんせき》の容易に到らない道志谷《ど....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
国よりも自国にたいしてはいっそう気むずかしくなるものであり、自国の弱点をより多く苦にするものである。また実際、ドイツはヨーロッパの罪悪のもっとも多量をになってい....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
回ずつか必ず行商に出してやることにきめている。彼らは初めは思い悩んで、この行商を苦にする風があったが、よく職人と商人の区別を説ききかせ、強いて行商に出してやる習....
「壇」の解体」より 著者:中井正一
企業的利潤に制約されていることは一つの歴史的必然であって、この議論に於てはさほど苦にするに足りない。利潤函数をぬき去りつつそれを今考察すればいい。その配列の対比....
光は影を」より 著者:岸田国士
が、なんだか、お前ひとり沈んでるようにみえたんだよ。なんだ、そんなことか、別に、苦にするようなことじやありやしない。それとも、出戻り扱いをする奴でもいるのか」 ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
って、蘊奥を極めるというようなことは、ほとんど出来難いものであるが、そういう事を苦にするような、芸術的人間でもなかったので、結句その方が勝手であり、まずい皮肉を....
俳優倫理」より 著者:岸田国士
の眼をみはらせるでしょう。しかし、そういう性質を持っているということを、ちっとも苦にすることはないということです。もちろん程度問題ですけれども、かりに非難を受け....
西航日録」より 著者:井上円了
国字をもって所感をつづる。 今朝の雪畑を荒らすと思ふなよ生ひ立つ麦の根固めとなる苦にするな荒しの後に日和あり 火に焼かれ風にたをされ又人に伐られてもなほ枯れぬ若....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
から成立っているのです。この感覚の中において人生全体が含まっているのです。これを苦にすること、悪むことは出来ます。が、これを軽蔑することは出来んです。であるから....