苦み[語句情報] »
苦み
「苦み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河明り」より 著者:岡本かの子
シャツを着て、パナマ帽を冠ったその男も気がついたらしく、そのがっしりした顔にやや
苦み走った微笑を泛べながら、寛るやかに足を運んで来た。男は座敷の椽で靴を脱いだ。....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
での半分は※って、漸々其処を見たように思うですが。」 高坂は語りつつも、長途に
苦み、雨露に曝された当時を思い起すに付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深山に塵....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
このかたと言いますもの、朝に晩に泣いてばかり、生きた瀬はなかったのです。――その
苦みも抜けました。貴方は神様です。仏様です。」 「いや、これが神様や仏様だと、赤....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ほども明かさずに、今の処、明さんを、よしなに慰めて上げて下さいまし。 日頃のお
苦みに疲れてか、まあ、すやすやとよく寝て、」 と、するすると寄った、姿が崩れて....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
自分でないのは確でしょう。 またどうも呻吟くのが、魘されるのとは様子が違って、
苦み※くというにも、種々ありますが、訳は分らず、しかもその苦悩が容易じゃない。今....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
なたもやはりあたしたち同様まごころこめて、おなじ道におつとめになったのね。よくも
苦みをおこらえなさったのね。それで、いま、大空の気息の世界へ、ごじぶんを引き上げ....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
一 深川八幡前の小奇麗な鳥屋の二階に、間鴨か何かをジワジワ言わせながら、水昆炉を真中に男女の差向い。男は色の黒い
苦み走った、骨組の岩畳な二十七八の若者で、花色裏の盲縞の着物に、同じ盲縞の羽織の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
たらありませんでしたぜ、私あ思いますが、この上に袴でも穿いた日にゃ、たって獄舎の
苦みでさ。」 「それでもよくお前ごまかしたな。」 「先方じゃあ思もつかなかったか....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ないか。お頭を草原に摺りつけて、薄の根を両手に縋って、のッつ、そッつ、たってのお
苦み。もう見る間にお顔の色が変ってね、鼻筋の通ったのばかり見えたんですよ。」 「....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
あ。」 「それでね、六人とられてしもうて、いま五人だけですがね、ほんにね、お産の
苦みと、十月の悩みと、死んで行くものの介抱と、お葬式の涙ばかりで暮すぞね。……ほ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
棄てられたり紛れたりして来たから拾って育ててやるので、犬や猫を飼うのは楽みよりは
苦みである。わざわざ求めて飼うもんじゃ決してない、」といっていた。二葉亭の犬や猫....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
した。また一方には馴れない工事のために、多数の死人を出した。かくの如く上下ともに
苦みつつ、予定の十一ヵ所を全部竣工するに至らずして、徳川幕府も亡びた、江戸も亡び....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
気の毒になって催促し兼ねたそうだ。池辺三山が評して「造物主が天地万物を産出す時の
苦み」といったは当時の二葉亭の苦辛を能く語っておる。が、苦辛したのは外形の修辞だ....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
から聴いていた。煩悶の内容こそ違え、二葉亭はあの文三と同じように疑いから疑いへ、
苦みから
苦みへ、悶えから悶えへと絶間なく藻掻き通していた。これが即ち二葉亭の存在....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
元に引き留むるを得たり。 既に沈を上げし上は一安心なり、早く挙げ終りて、船頭の
苦みを除きたしと、引く時は、敵を怒らしめざるように処女の如く引き、引かるる時は、....