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「苦力〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦力の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
でいた。殊に一人の老紳士などは舷梯を下りざまにふり返りながら、後《うしろ》にいる苦力《クウリイ》を擲《なぐ》ったりしていた。それは長江を遡《さかのぼ》って来た僕....
或る女」より 著者:有島武郎
にもしるく葉子の眼窓《めまど》から見やられた。米国への上陸が禁ぜられているシナの苦力《クリー》がここから上陸するのと、相当の荷役とで、船の内外は急に騒々《そうぞ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ければならず、三度の食事の世話もなかなか面倒でした。私たちは七人が一組で、二人の苦力を雇っていましたが、シナの苦力は日本の料理法を知らないので、七人の中から一人....
前哨」より 著者:黒島伝治
それを、顔にも、言葉にも現わさないように痩我慢を張っていた。 支那兵が、悉く、苦力や農民から強制的に徴募されて、軍閥の無理強いに銃を持たされているものであるこ....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
しい店を出しているのはみな支那人かインド人かだった。土人はほんの土百姓かあるいは苦力《クウリイ》かだ。 その支那人やインド人やはみな泥棒みたいな商人ばかりでい....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
うではなくて一段だけ狭い甲板であった。暑くるしい夜をそこに涼んでいたらしい一人の苦力がびっくりしてとびおきた。 川上機関大尉はえいっと懸声して、塀を向こうにと....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、身をおののかせながらの恋の告白、彼女の返事、それから時どきに黒と白の法被を着た苦力の人力車に乗って、静かに通ってゆく白い顔の幻影、ウェッシントン夫人の手袋をは....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
であった。酔漢はその詩を唄いながら、だんだん二人へ近づいて来た。見れば、酔漢は、苦力と見えて、纒った支那服のあちこちに泥が穢ならしく着いている。五十を過ごした老....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
露路に添ってそういう娼家が並んで居るのであり、そういう娼家の娼婦をひやかし乍ら、苦力に近いような下等の労働者などが右往左往していた。 それだのに何うしたものか....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
村の男 會徳 工場の事務員 浦辺、村上 女工 時子、君子 ほかに村の男、女若者。苦力など おなじく李中行の家。 第一幕より五日の後、晴れたる日の午後三時頃。....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
のだ。あの無量生産から寸時の隙なく引きずられこづき廻わされている人夫たちの沈黙の苦力と繁忙とは見る目も痛わしい。彼らは彼らの意志も呼吸も圧迫されどおしである。 ....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
それよりもなお一層忘れられない恐しいことがあったのです。それは一緒に連れて行った苦力が逃げ遅れて、虎に喰い殺された時の光景です。実に今思い出してもゾッといたしま....
耳香水」より 著者:大倉燁子
ですよ。鼠色の男だなどと謳われた義賊らしくもなく、から意気地のない、へなへなした苦力のような男でした。多分狼狽した結果、金で買ってきた偽犯人なのでしょうねえ。 ....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
そく現われた。私は谷口組の下請けをやっている菊本氏の家に厄介になりながら、無給で苦力の監督などを手伝わされていたが、ある日、谷口組の親分が『看板の下書きをしろ』....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
日朝暗いうちから人がわんさと押しかけて皆餞別の贈り物をしました。その多くは貧民や苦力どもで、皆手に手に乾鶏等を贈ってその行を惜しんだのです。あの時の有様は今でも....