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苦労
「苦労〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦労の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
がら、洞穴《ほらあな》の前まで迎えに出て、
「これは、これは、髪長彦さん。遠方御
苦労でございました。まあ、こっちへおはいりなさい。碌《ろく》なものはありませんが....
「影」より 著者:芥川竜之介
。」
陳はほとんど無表情に、じろりと相手の顔を眺めた。
「今日《こんにち》は御
苦労でした。」
「先ほど電話をかけましたが、――」
「その後《ご》何もなかったで....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
る種類の人であった。が、同時にまたその顔には、貴族階級には珍らしい、心の底にある
苦労の反映が、もの思わしげな陰影を落していた。私は先達《せんだっ》ても今日の通り....
「河童」より 著者:芥川竜之介
を通すと、急ににやにや笑いながら、相手の肩をたたきました。
「よろしい。どうも御
苦労だったね。」
僕は呆気《あっけ》にとられたまま、巡査の顔をながめていました....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
えませんね。ただ私は娘や壻《むこ》の、苦しそうな嘘を聞いているのが、それはそれは
苦労でしたよ。お爺さんは何も知らないように、黙っていろと御云いなすったから、一生....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
わ》れたるものが、戦争後すぐに敵国人を内地へつれこもうと云うんだから、人知れない
苦労が多かったろう。――え、金はどうした? そんな事は尋《き》くだけ野暮だよ。僕....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
った。妻は自分の来たのを知ると一人だけ布団《ふとん》の上に坐り、小声に「どうも御
苦労さま」と云った。妻の母もやはり同じことを云った。それは予期していたよりも、気....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
た毎日電燈さえつけば、必ず西洋間へ顔を出すのです。それも夫のいる時ならばまだしも
苦労はないのですが、妙子のひとり留守《るす》をしている時にもやはり顔を出すのでし....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
「夫が浅草田原町《あさくさたわらまち》に米屋を出していたと云う事や、横浜へ行って
苦労したと云う事は勿論|嘘《うそ》じゃありません。が、捨児をしたと云う事は、嘘だ....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
してしまいました。
「もう秋山図はこちらの物です。煙客先生もあの図では、ずいぶん
苦労をされたものですが、今度こそはご安心なさるでしょう。そう思うだけでも愉快です....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
は常子に知られぬように靴下|代《だい》を工面《くめん》するだけでも並みたいていの
苦労ではない。……
「二月×日 俺は勿論寝る時でも靴下やズボン下を脱いだことはな....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
び立てました。 その声に応じて出て来たのは、美しい支那人の女の子です。が、何か
苦労でもあるのか、この女の子の下ぶくれの頬は、まるで蝋のような色をしていました。....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
だろうと思う。ではその人間とはどんなものだと云うと、一口に説明する事は困難だが、
苦労人と云う語の持っている一切の俗気を洗ってしまえば、正に菊池は立派な
苦労人であ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
く迫っている。それに、(彼はじつに未熟な騎手だった)腰をすえるのにひとかたならぬ
苦労をし、一方に滑ったかと思えば、また一方に滑り、ときには、馬の背骨の高い峰にご....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
夜はまた夜で、寒さに悩みながら冷たい板の間で旅寐の夢をむすぶ身となった。こうした
苦労がつもり積って、夫婦はめっきり体が弱ってしまった。そうなると、もう誰ひとり雇....