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苦労人
「苦労人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦労人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
作った。 「どうも相済みません。飛んだところをお目にかけまして……」 「おめえは
苦労人らしい。あんな馬子を相手にしてどたばたしちゃあいけねえ」と、半七は笑いなが....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
で、小芳が刷毛を持って、颯とお化粧を直すと、お蔦がぐい、と櫛を拭いて一歯入れる。
苦労人が二人がかりで、妙子は品のいい処へ粋になって、またあるまじき美麗さを、飽か....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
なたはどこにお勤めでしたの?」とは、お袋が異様な問いであった。 「わたしはそんな
苦労人じゃアございませんよ」と、僕の妻は顔を赤くして笑った。「そりゃア、これまで....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ころによると、真佐子は美事な一視同仁の態度で三人の青年に交際していた。鼎造が元来
苦労人で、給費のことなど権利と思わず、青年を単に話相手として取扱うのと、友田、針....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
矢藤老人――ああ、年を取った伊作翁は、小浜屋が流転の前後――もともと世功を積んだ
苦労人で、万事じょさいのない処で、将棊は素人の二段の腕を持ち、碁は実際初段うてた....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ついこの間の事――一大書店の支配人が見えた。関東名代の、強弓の達者で、しかも
苦労人だと聞いたが違いない。……話の中に、田舎から十四で上京した時は、鍛冶町辺の....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
この頃の行動については、何にも本当には理解することができないのであるが、いわゆる
苦労人の先輩とか友人とかの冷笑するがごとく、今はまず、「自棄酒を呑んで女に狂って....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
が打覆った塩梅だろう。」 この時一所に笑い出したが。 「ね、小児だって、本場の
苦労人が裸で出張ってる処へ、膝までも出さないんだ、馬鹿にするないで、もって、一本....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
だろうと思う。ではその人間とはどんなものだと云うと、一口に説明する事は困難だが、
苦労人と云う語の持っている一切の俗気を洗ってしまえば、正に菊池は立派な
苦労人であ....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
じのように典型的の英国人であるガルスワーシーは一見|気難しやのようで実は如才ない
苦労人だということがつき合って行くうちに判って来る。景子が英国ペンクラプの会員と....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
わらっている一人の女がありました。 お初は生きていたのです。 親分の吉五郎は
苦労人で、大勢の子分の面倒も見ている男だけに、お初と六三郎とのわけを聞いても、生....
「山吹」より 著者:泉鏡花
くれしのぶ身体はまるで鼠のようで、心は貴方の光のまわりに蛾のようでした。ですが、
苦労人の女中にも、わけ知の姉たちにも、気ぶりにも悟られた事はありません。身ぶり素....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
食わねえから勘定をして貰ったって、お礼なんざいわねえって、」 お賤は気が練れた
苦労人、厭な顔はちっともしないで、愛想よく、 「ああ、可いともね、また礼なんぞい....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
、淡島屋の帳場に座って天禀の世辞愛嬌を振播いて商売を助けたそうだ。初代もなかなか
苦労人でかつ人徳があったが、淡島屋の身代の礎を作ったのは全く二代目喜兵衛の力であ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
にしろ、この大だんなは石炭の袋をかついで売り歩き、一代で座古清の身代を作りあげた
苦労人なのだ。 いなかからぼっと出の私は、朋輩の与吉や乳母、お手伝いさんたちか....