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苦役
「苦役〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦役の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「泥濘」より 著者:梶井基次郎
た。自分はなにかそれについても言いたいような気がしたがうなずいたままで外へ出た。
苦役《くえき》を果した後のような気持であった。 町にはまだ雪がちらついていた。....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
にけんかさえも起こった。だがそうしたのは、彼らの上に重っ苦しくおおいかぶさった「
苦役」と、「困窮」とであった。それをあやつっている資本制の糸であった。彼らは、自....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
は前科者ですぜ」余「エエ、前科者とは何の事です」森「イヤ、既決囚として監獄の中で
苦役した事のある女ですぜ」此の恐ろしい言葉には、余一言も発する能わず。
第六十....
「奴隷根性論」より 著者:大杉栄
い殺されるか、いずれにしても必ずその身を失うべき筈の捕虜が、生命だけは助けられて
苦役につかせられる。一言にして言えば、これが原始時代における奴隷の起源のもっとも....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
われます。被告は無罪出獄を夢みても居りませねば、豊多摩監獄に送られ、あのいやしき
苦役をつとむる考えもありません。そうだからとて冤罪のために絞首台に上るも快よしと....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
して見ねえんだから駄目だ。己なんざ、何しろ十四の時から新川へ奉公して、十一年間|
苦役われて来たんだ。食い物もろくに食わずに、土間に立詰めだ。指頭の千断れるような....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
かに温かいものがまだ彼を支《ささ》えているようにおもえた。 「もう広島に行ったら
苦役に服するつもりなのです」と、彼は東京からやって来た義弟に笑いながら話した。彼....
「鎮魂歌」より 著者:原民喜
る人間……あれは僕 で は な い。 僕はお前と死別れたとき、これから既に僕の
苦役が始ると知っていた。僕は家を畳んだ。広島へ戻った。あの惨劇がやって来た。飢餓....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、秦の始皇帝が万里の長城を築いたときに駆り出された役夫である。かれらはその工事の
苦役に堪えかねて、同盟脱走してこの山中に逃げ籠ったが、歳久しゅうして死なず、遂に....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
の火を眺め乍らうちの事をよく考える。まア洋行も監獄へ入ったような気もするよ。早く
苦役を了えて、出獄し度いよ。花時分に日本へ帰ったら、出獄の日のK氏の肖像でもかく....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
斬るような世の中じゃア無えや、さア何処へでも勝手に持出せ、一年の間赤い筒袖を着て
苦役をする事は素より承知の上だが、何も二人で枕を並べて寝てえた訳じゃアなし、交際....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
昼ごろに少し明りがさすきりである。右のとおり地牢でなくなったそれら監房の弊害は、
苦役させなければならない者らを夢想させることにある。
かくてブリュジョンは夢想....
「虹の橋」より 著者:久生十蘭
)や所内で生まれた産乳は、鳥が古巣へ帰るように、その何割までかが、罪を犯して母の
苦役の場へ戻ってくるという無情な伝説があって、旧刑法時代には、そういう不幸な人達....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
分かち合ったこともある。続いてモロッコ戦争に従軍し、ムーア人の捕虜になって四年の
苦役を果たした後に、イギリスに渡って主人ドン・アントニオに合流したものであった。....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
わずに来ることができた。が、あの高い煉瓦塀の中でのいっさいの自由を奪われたような
苦役生活の八年間――どれほどの重い罪を犯したものか、自分なんかにはほとんど想像も....