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苦悩
「苦悩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦悩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
どこにうれしさがある、楽しさがある。自分はまた一つの今までに味わわなかったような
苦悩の中に身を投げ込もうとしているのだ。またうまうまといたずら者の運命にしてやら....
「星座」より 著者:有島武郎
昼は研究ができず、夜は眠ることのできない三日四日が続いたが、それには何らの焦燥も
苦悩も伴《ともな》いはしなかった。彼はただ神聖な存在の前に引きだされたような気分....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
水、生命《いのち》を取られぬものはないのじゃ。
天狗道《てんぐどう》にも三熱の
苦悩《くのう》、髪が乱れ、色が蒼ざめ、胸が痩《や》せて手足が細れば、谷川を浴びる....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
のだ。もっとも僕の今の境遇はちょうど不治の病いにわずらっている人のごとくで、平生
苦悩の絶ゆるときがないから、何か他にそれをまぎらわすべき興味的刺激がなければ生存....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
の鐘を撞いて、鐘楼の高い段から下りると、爺は、この縁前で打倒れた――急病だ。死ぬ
苦悩をしながら、死切れないと云って、悶える。――こうした世間だ、もう以前から、村....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
塩梅。「お慈悲じゃ。」と更に拝んで、「手足に五寸釘を打たりょうとても、かくまでの
苦悩はございますまいぞ、お情じゃ、禁厭うて遣わされ。」で、禁厭とは別儀でない。―....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
窓が地へ擦れ擦れに、倒になっておりますそうな。こりゃもっともじゃ、のう、たっての
苦悩。 酒が上って、醒めずにいたりゃ本望だんべい、俺ら手が利かねえだに、もうち....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
われや、かぼそい、白い女が、紅蓮、大紅蓮、……」 ああ、可厭な。 「阿鼻焦熱の
苦悩から、手足がはり、肉を切こまざいた血の池の中で、悶え苦んで、半ば活き、半ば死....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
と色の斑点を塗り隠すやら、種々の細工が施された。今までの顔に深いみぞを刻んでいた
苦悩の皺は、人々に嫌悪の情を起こさせるというので、それもみな塗りつぶされて、その....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
るのとは様子が違って、苦み※くというにも、種々ありますが、訳は分らず、しかもその
苦悩が容易じゃない。今にも息を引取るか、なぶり殺しに切刻まれてでもいそうです。」....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
交霊実験を試みてはならぬ。次に又精神肉体が睡眠を求め、休養を求むる時にも、又疾病
苦悩に煩わされて居る時にも、われ等の認可を受けた上でなければ、成るべく、交霊を差....
「映画と民族性」より 著者:伊丹万作
鮮の人々さえ我々の提供する映画だけではもの足らず、彼ら自身の映画を作り出すために
苦悩をつづけているではないか。 かつて映画が言葉を得て自由にしやべり始めたとき....
「取舵」より 著者:泉鏡花
ずかに擡げて、 「ええ、もう知りませんよう!」 酷くも袂を振払いて、再び自家の
苦悩に悶えつ。盲人はこの一喝に挫がれて、頸を竦め、肩を窄めて、 「はい、はい、は....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
い。丁度活人形のように、器械的に動いているのである。新しい、これまで知らなかった
苦悩のために、全身が引き裂かれるようである。 どうも何物をか忘れたような心持が....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
の真相を捉え根底ある計画の下に国防の大方針を確立せねばならぬ。これは私の絶えざる
苦悩であった。 陸大卒業後、半年ばかり教育総監部に勤務した後、漢口の中支那派遣....