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「苦界〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦界の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
胸の中でいたずら者がむずむずし始めた。奥さんが、ごくわずかの間であったけれども、苦界というものに身を沈めていて、今年の始に新井田氏の後妻として買い上げられたのだ....
根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
》は、これも大阪もので大家《たいけ》の娘でございましたが、家《うち》の没落に身を苦界《くがい》に沈め、夜《よ》ごとに変る仇枕《あだまくら》、朝《あした》に源兵衛....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ものであろう{1}。要するに、「いき」は「浮かみもやらぬ、流れのうき身」という「苦界《くがい》」にその起原をもっている。そうして「いき」のうちの「諦め」したがっ....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
た。さてそうなると、こうして廓にいてもなんの望みもない、楽しみもない、一日も早く苦界《くがい》をぬけたい。今のわたしが杖柱《つえはしら》と取りすがるのは、お前ば....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
切なおかたさまに拾われて成人しましたが、人のうわさに、くるわはおなごにいちばんの苦界と聞きましたゆえ、すき好んでわれとわが身をその苦界に沈めたのでござります」 ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 「あら、なぜ?」 「十一時過ぎてからの座敷じゃないか。」 「御免なさいよ、苦界だわ。ねえ、早瀬さん、さあ、めしあがれよ、ぐうと、」 「いいえ、もう、」 ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
で、四十九回さ」 「なるほど、そう云えば……」 「そう云わなくても四十九回、始終苦界さ。そこでこの機会に於て、遺言代りに、子沢山の子供の上を案じてやってるんだあ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
うなると、おつねの身売は無駄なことになったようなわけで、これから十年の長いあいだ苦界の勤めをしなければならないのですから、姉思いの久松は身を切られるように情なく....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
んでしまったような心持になったりしながらもまたふと思い返してみると、女は長い間の苦界から今ようやく脱け出でて、ああして静かに落ち着こうとしているところである。そ....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
てするのだから、まことに仕様がございませんよ、流行妓てえなア辛いものでそれだから苦界と云うので、察して気を長くお出でなさいよ」 又「成程是まで度々参っても振られ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、弟のその頭を撫でると、仰いで笠の裡を熟と視た。その笠を被って立てる状は、かかる苦界にある娘に、あわれな、みじめな、見すぼらしい俄盲目には見えないで、しなびた地....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
が、この商売なら五年もかゝれば元利をきれいに返済出来る見込みがある。自分も悲しい苦界づとめのおかげで、この商売の経営には自信があるのだが、アア、お金がほしい……....
秋深き」より 著者:織田作之助
な、なにもお化けでもなんでもあらへんのでっせ。だいたい、このろくろ首いうもんは、苦界に沈められている女から始まったことで、なんせ昔は雇主が強欲で、ろくろく女子に....
遺伝」より 著者:小酒井不木
たので、遂には、世を呪う心が抑えきれぬようになったのだそうです。彼女が自ら選んで苦界へ身を沈めたのは、世の中の男子を手玉にとって、思う存分もてあそび復讐心を多少....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
伊のはん私もたゞならぬ身の上に成っていますから、月に一遍ずつでも主の顔を見るのを苦界のうちの楽みにしているのざますから、年に一度でもようございますから、顔でも見....