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苦節
「苦節〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦節の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仇討三態」より 著者:菊池寛
では、嫡子主膳正|直溥の世になっていた。が、君臣は挙って、幸太郎兄弟が三十年来の
苦節を賛嘆した。幸太郎は、亡父の旧知百五十石に、新たに百石を加えられた、盛次郎は....
「運命」より 著者:幸田露伴
、詩客の如く、実に袁※の所謂異僧なり。其の詠ずるところの雑詩の一に曰く、 志士は
苦節を守る、 達人は 玄言に滞らんや。
苦節は 貞くす可からず、 玄言 豈其れ然....
「李陵」より 著者:中島敦
かたを許そうとしないのである。 飢餓も寒苦も孤独の苦しみも、祖国の冷淡も、己の
苦節がついに何人《なんぴと》にも知られないだろうというほとんど確定的な事実も、こ....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
な奴だ。亡くなった旦那が家出の当時にすら、指一本、人にさされたことのないほど長い
苦節を守り続けて来た女の徳までも平気で破りに来ようという奴だ。そう考えると、おげ....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
と絶《た》つ 見よ彼らが家庭の紊乱《びんらん》せる有様を、数年間《すねんかん》
苦節を守りし最愛の妻をして、良人《りょうじん》の出獄、やれ嬉しやと思う間もなく、....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
せしめ、他を羨むことの無いように致して居ります。また毎月一回講話会を催しまして、
苦節よく一家をなしたる知名の大先輩に御願いして、その経験を伺い併せて目の当りその....
「秋の筑波山」より 著者:大町桂月
長く留まれる処、山河更に威霊を添ふるを覚ゆ。茫々五百年、恩讐|両つながら存せず。
苦節ひとり万古にかをる。明治の世になりて、宗祐は正四位を贈られ、宗政は従四位を贈....
「九条武子」より 著者:長谷川時雨
と大胆に、いいところをいってもいい、人間らしいところを話《はなし》ても、あの方の
苦節に疵《きず》はつきはしない。お人形さんに、あの晩年の、目覚《めざ》めてきた働....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
るの決断に出でたらば、世間においても真実、天下の為めに一身を犠牲にしたるその苦衷
苦節を諒して、一点の非難を挟むものなかるべし。 すなわち徳川家が七十万石の新封....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
苦労でした」 「わしらは残念でたまりまっせん。どうしてもこの仇は返さにゃならん。
苦節十年、必ず勝ってみせます」 「あなた方は残念ですか」 「そうです。残念です」....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
の前には、もッともッと大きなやまがブラ下がっている。あの手紙から暗示を得た、十年
苦節の大疑獄、十手の先ッぽで天下を沸かせるような功名心に燃えている。 「ええ忌々....
「三国志」より 著者:吉川英治
ろくない顔をした。 張昭はたたみかけて、若い主君を喩した。 「すべて外交の計は
苦節です隠忍です。玄徳に出世を与える。勿論、お嫌でたまらないでしょうが、その効果....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
や、大いに違う」 「どう違う」 「私欲の反逆や無節操と、世をよくしようと念じての
苦節とは」 「まことに」 と、正成は素直にうなずいてみせた。しかし一歩も譲ッて....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
は、どこに見るべきほどな画業が今日あるだろう。わけて民衆とのつながりでは、かつて
苦節をなめて来た清新な洋画家たちと、ほとんど、その席を替えてしまっているのである....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
も、その禄高は数百石を出ていなかったのである。かえり見れば爾来二十一年、その間の
苦節|苦衷、死生の外の艱難悪闘はことばにも絶えている。五体のうちなお四肢の揃って....