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苦艱
「苦艱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苦艱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
おれは独り離れ島に老の来るのを待っている。――これがおれの今のさまじゃ。が、この
苦艱《くげん》を受けているのは、何もおれ一人に限った事ではない。おれ一人|衆苦《....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
く》に晒され、現在の報いを自ら受くるのも一法じゃが、それでは未来永劫、焦熱地獄の
苦艱《くげん》を受けておらねばならぬぞよ。それよりも、仏道に帰依《きえ》し、衆生....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
などに再びとは生れまじきぞ、多勢の中に交じりながら、孤独地獄にも陥ちたらんが如く
苦艱《くげん》を受くること屡々《しばしば》なりなど仰せられ、御改易のことについて....
「新生」より 著者:島崎藤村
因の無い憂鬱《ゆううつ》の結果か、それとも母親のない幼い子供等を控えて三年近くの
苦艱《くかん》と戦った結果か、いずれとも彼には言うことが出来なかった。
中野の....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
で、約八年の長きに亘って、繰り返し述べ立てた所で、長き獄中生活と、その孤独地獄の
苦艱から逃れる為に五体のあらゆる部分から、必死の力を絞り出し、苦痛は呪いを生み、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
夜彼女は父を揺り起し、「わたしが快くなったら如何でもして恩報じをするから、今夜は
苦艱だから、済まないが阿爺さん起きて居てお呉れ、阿母は赤ん坊や何かでくたびれきっ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
合やさしいようですけれど、流れが煽って、こう、颯とせく、落口の巌角を刎ね越すのは
苦艱らしい……しばらく見ていると、だんだんにみんな上った、一つ残ったのが、ああも....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
そうしたものは絶対に存在せぬ。われ等が過去に於て嘗めたところに比ぶれば、現代の
苦艱の如きは抑々物の数でない。われ等の生活せるローマ帝政時代の末期――精神的、霊....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
うた、よう達者でいてくれた、こんな嬉しい事はないぞ、さぞ難儀したであろう、さぞ困
苦艱難したであろう、この文治もの、そちに劣らぬ難儀はしたが、天日に消ゆる日向の雪....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
「説文《せつもん》」にいえるがごとく、重荷を荷《にな》うて堪えること、すなわち辛
苦艱難《しんくかんなん》に堪える、耐忍《たいにん》の力あることをもってその強さが....
「地上」より 著者:島田清次郎
られつくした暗鬱な顔を照している。額の深い皺の一筋一筋がはっきり浮き出して、女の
苦艱を表現せしめている。小妻は不幸な女だった。自分を不幸と信じている冬子でさえが....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
中に入りてより以来、その精神は常に宗教の熱を帯び、氷雪飢餒の間にその寒を忘れ、刻
苦艱難して得たるところの結果は、米国今日の文明なり。しかるに、今日にありては血管....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
っている。
お前の胸に隠しているのは
なんと云う悪業だ。
お前の咎で、長い、長い
苦艱を受けに、
死んで行かれた母親の霊のために祈るのか。
お前の家の門の閾は誰の....
「人間否定か社会肯定か」より 著者:小川未明
虐げている事実を見あきる程見ている。人間が、人間を奴隷とし、自欲のためには、他の
苦艱をも意としない、そのことが人道にもとるにもかゝわらず。不問にされることも知っ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
しの「さア此方へお上んなさいまし私は少し塩梅が悪くってネ、其処まで立って往くも
苦艱でござえますから、何うかあんた此方へ這入っておくんなせえましよ」 安「ヘイ/....