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苧
「苧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
ひらめいて、黒い人影や白い浴衣が薄暗いなかに動いていた。お時も焙烙《ほうろく》に
苧殻《おがら》を入れて庭の入り口に持ち出した。やがて火打ちの音がやむと、お時の手....
「三浦右衛門の最後」より 著者:菊池寛
に違いない。 戦国時代の文献を読むと、攻城野戦英雄雲のごとく、十八貫の鉄の棒を
苧殻《おがら》のごとく振り回す勇士や、敵将の首を引き抜く豪傑はたくさんいるが、人....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
issertations, Berlin, 1902. 三 陸羽――字は鴻漸、桑
苧翁と号した。唐の徳宗時代の人。 四 茶経には一之源、二之具、三之造とある。 五....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
のようなその羅紗の、毛くさい破帽子などは脱いで、菅笠を被れという。そんで、へい、
苧殻か、青竹の杖でもつくか、と聞くと、それは、ついてもつかいでも、のう、もう一度....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
大まかに掻捜して、御飯、お香こう、お茶の土瓶まで……目刺を串ごと。旧の盆過ぎで、
苧殻がまだ沢山あるのを、へし折って、まあ、戸を開放しのまま、敷居際、燃しつけて焼....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ル夫人は惨忍な興味を増した。老女の変態愛は自分も相当に疲れて居ながら新吉を最後の
苧がらのように性の脱けたものにするまで疲れさせねば承知出来なくなって居た。それに....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ことにしようじゃないか。私ばかりでない、まだ同一心の者が、方々に隠れている、その
苧環の糸を引張ってさ、縁のあるものへ結びつけて、人間の手で網を張ろうという意でね....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
筒を揃えて道節に迫った、曳手・単節が荒芽山を落ちる時も野武士に鉄砲で追われた、網
苧の鵙平茶屋にも鉄砲が掛けてあった、甲斐の石和の山の中で荘官|木工作が泡雪奈四郎....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
この火箸は馬鹿に重いんですね。 長次郎 鉄で出来ているから重いのは当りまえだ。
苧殻の箸じゃあねえ。その積りでしっかり持て。 小僧三 餓鬼に
苧殻ならいいが、餓鬼....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
ばさん物語りて――片山里にひとり寂しく棲む媼あり。屋根傾き、柱朽ちたるに、細々と
苧をうみいる。狼、のしのしと出でてうかがうに、老いさらぼいたるものなれば、金魚麩....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
日、晩方にも苦しみましたな。」 「ああ、そうです、」 金之助は話の糸の、乱れた
苧環巻きかえし、 「その、氷嚢をあけていた、厭な人影が中へ入る、ひとりでに扉が閉....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
みにて鯨尺一尺四寸四分にきり、これを上より全長の十分の三、下より十分の七の所にて
苧紐にて結ぶ。その紐の長さも一尺四寸四分なり。しかして、この三本竹を叉字形となし....
「島原の夢」より 著者:岡本綺堂
水の音におどろかされて、簾がしずかに巻きあげられると、そこにはむらさきの小袖に茶
苧の袴をつけた美少年が殊勝げに経巻を読誦している。高島屋とよぶ声がしきりに聞える....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
いますからそういう脅迫談判は止して頂きたい」といいますと、藤井さんを始め皆さんが
苧環の糸を繰返して何遍か同じような事をいって勧められた。
もう睡くて仕様がない....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
た。あきらめさえすればよかった。彼からみるとその程度の幸福を望んでいる雲水たちは
苧殻の屑のように思えた。人間ではなかった。それに引較べて自分の中に籠っている慾望....