茅萱[語句情報] »
茅萱
「茅萱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茅萱の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
堪え切れないで、彼は師匠の家をとうとう迷い出た。寂しいひとり旅の日数も積もって、
茅萱《ちかや》の繁った武蔵の里をゆき尽くして、利根の河原にたどり着いたときに、彼....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
めつけていて、しばらく凝然と動かなかった。それに、黒地の対へ大きく浮き出している
茅萱模様の尖が、まるで磔刑槍みたいな形で彼女の頸を取り囲んでいる。それなので、偶....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ていた。 草の芽が顔を出していた。 甚太郎は宛なしに歩いて行った。 行手に
茅萱の斜面があった。 数頭の馬が草を食んでいた。骨と皮ばかりの痩せ馬であった。....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
百姓の好きな私は、どうかいう機会を作って、彼等に近づくことを楽みとする。 赤い
茅萱の霜枯れた草土手に腰掛け、桟俵を尻に敷き、田へ両足を投出しながら、ある日、私....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
「甚太郎、ちと話があるが、あの物蔭まで――」
顎《あご》で、指したあたりに、
茅萱《かや》が小径《こみち》の方へ、枯れながらなびいていた。
甚太郎は、
「へ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
由なるが、陸中の俚伝を佐々木喜善氏が筆したのには、蛇に逢いて蛇がにげぬ時「天竺の
茅萱《ちがや》畑に昼寝して、蕨の恩を忘れたか、あぶらうんけんそわか」と三遍称うべ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ける玉の如く、弓形に出没して、歩行き歩行き掬切に、刃形が上下に動くと共に、丈なす
茅萱半ばから、凡そ一抱ずつ、さっくと切れて、靡き伏して、隠れた土が歩一歩、飛々に....
「武蔵野」より 著者:山田美妙
もあたりへ心を配る様子はなかなか泰平の世に生まれた人に想像されないほどであッて、
茅萱の音や狐の声に耳を側たてるのは愚かなこと,すこしでも人が踏んだような痕の見え....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
暗紫色な深い陰影がつくられている。 咲き乱れている山神の錫杖、身を隠すばかりな
茅萱などの間をザクザクとかき分けて、やがて小高い瘤山の洞窟へ這い寄った四人――。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
服の紳士行列を作っている。また進行しつつある。 岩菊、浜菜、もるちの花叢、藜に
茅萱、 黄だ、黄だ、黄だ、緑だ、金だ。 その下の砂浜一帯の海獣の裸臥像である....