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茎
「茎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
が、鼻の毛穴から鑷子《けぬき》で脂《あぶら》をとるのを眺めていた。脂は、鳥の羽の
茎《くき》のような形をして、四分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一....
「路上」より 著者:芥川竜之介
《テエブル》の上には、籐《とう》の籠へ入れた桜草《さくらそう》の鉢が、何本も細い
茎を抽《ぬ》いた先へ、簇々《ぞくぞく》とうす赤い花を攅《あつ》めている。……
....
「或る女」より 著者:有島武郎
なくなった。庭の草などをつかんでいる時でも、ふと気が付くと葉子はしゃがんだまま一
茎の名もない草をたった一本摘みとって、目に涙をいっぱいためながら爪《つめ》の先で....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
挨拶一つせずにさっさと別れて歩き出した。
玉蜀黍殻《とうきびがら》といたどりの
茎で囲いをした二間半四方ほどの小屋が、前のめりにかしいで、海月《くらげ》のような....
「星座」より 著者:有島武郎
草は、三番刈りの前でかなりの丈《た》けにはなっているが、一番刈りのとはちがって、
茎が細々と痩せて、おりからのささやかな風にも揉まれるように靡《なび》いていた。そ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
して、主税は黙って拳を握る。 英吉は、ここぞ、と土俵に仕切った形で、片手に花の
茎を引掴み、片手で髯を捻りながら、目をぎろぎろと……ただ冴えない光で、 「だろう....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
別、そのために叱られたという記憶は持っていない。蘭はどこでも石の間に特に一、二|
茎植えたものだった。 九 夢中遊行 僕はそのころも今のように体の弱い....
「親子」より 著者:有島武郎
られた蕗の葉がどす黒く破れて泥にまみれたりしていた。彼は野生になったティモシーの
茎を抜き取って、その根もとのやわらかい甘味を噛みしめなどしながら父のあとに続いた....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。然し誠実とはそんなものでいいのだろうか。私は八方|摸索の結果、すがり附くべき一
茎の藁をも見出し得ないで、已むことなく覚束ない私の個性――それは私自身にすら他の....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ずれて緩んで、新聞もばさりと裂けた。そこからそれ、煤を噴きそうな面を出して、蘆の
茎から谷|覗くと、鍵の穴を真黒に窪ましているじゃアありませんか。 (何が入ってお....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、風すこし打吹きたるに、月|皎々と照りながら、むら雨さっと降りいづれば―― 水
茎の墨の色が、はらはらとお嬢さんの睫毛を走った。一露瞼にうけたように、またたきし....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
伸びて、小屋は屋根に包まれる、山の懐も隠れるけに、月も葉の中から出さされて、蟹が
茎へ上っての、岡沙魚というものが根の処で跳ねるわや、漕いで入る船の艪櫂の音も、水....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
一本のやさしい形の葦とたいへんなかがよくって羽根がつかれると、そのなよなよとした
茎先にとまってうれしそうにブランコをしたり、葦とお話をしたりして日を過ごしていま....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
。 椿、柳、梅、桜、花の師匠が背戸と、冠木門の庭とは、草も樹も、花ものを、枝も
茎にたわわに咲かせて、これを派手に、わざと低い生垣にし、――まばらな竹垣にしたほ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
吸っている中につまってしまうことなどがある。彼は腰を伸ばして傍らに生い立った萓の
茎を抜き取る。滑らかに細長い萓の
茎はいいあんばいに煙管の中を通りぬけて苦もなく旧....