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「茫洋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

茫洋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:太宰治
ちしたって思いつかない全然新らしい感動と思索が在るのではないかと思っているのだ。茫洋《ぼうよう》とした大きなもの。神を眼のまえに見るほどの永遠の戦慄《せんりつ》....
雪後」より 著者:梶井基次郎
昔から親しく往来し互いの生活に干渉し合っていた。ことに大槻は作家を志望していて、茫洋《ぼうよう》とした研究に乗り出した行一になにか共通した刺激を感じるのだった。....
蘭学事始」より 著者:菊池寛
四人は初めて、ターヘルアナトミアの書に向った。 が、開巻第一のページから、ただ茫洋として、艫舵《ろだ》なき船の大洋に乗出《のりいだ》せしがごとく、どこから手の....
河明り」より 著者:岡本かの子
ちずに、飛鳥山、道灌山、上野台の丘陵の西側を通って、海の入江に入った。その時には茫洋とした大河であった。やがて石神井川が飛鳥山と王子台との間に活路を拓いて落ちる....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
どのようにしてどう飜訳してよいのか、「まことに艫舵なき船の大海に乗出せしが如く、茫洋として寄るべなく、只あきれにあきれて居たる迄なり」というところなど実によかっ....
若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
あり。 眼下はるかに塔米児《タミイル》、斡児桓《オルコン》両河の三角洲。川向うの茫洋たる砂漠には、成吉思汗《ジンギスカン》軍の天幕《ユルタ》、椀を伏せたように一....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 その山々の名は先刻、いちいちお雪から指さして教えられたはずであったが、今は茫洋として覚えておりません。名の記憶は茫洋に帰してしまったが、自分の放つ視力のめ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
えてしまう、そうすると海の波の大きさが浮き上って来る。見るべき焦点を失った時に、茫洋たる瞳がよみがえる―― あ、そうだ、黒船も黒船だが、さいぜんのあの人影は、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「左様でございますか」 指差されたところを注視したけれど、お松としては、やはり茫洋《ぼうよう》たる海の中に置かれたと同様な心持で、さっぱり観念を得ることができ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
た。 そして――。 おのれの立っているところを野と思ったのは誤りで、かれは、茫洋《ぼうよう》たる水の上に、さながら柱のごとく、足のうらを水につけて起立してい....
「草野心平詩集」解説」より 著者:豊島与志雄
眼色を漂わすところ、まさに心平さんなのである。その全体の風貌が、物事に拘泥せず、茫洋としている。 だが、その茫洋さのうちにも、おのずからに発露してくる一つの志....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
な限定は、つまり、絵に於けるカンバスの限定と同じようなものである。 けれども、茫洋たる大海の孤独さや、沙漠の孤独さ、大森林や平原の孤独さに就て考えるとき、林泉....
秦の憂愁」より 著者:豊島与志雄
。それより彼は、文学者仲間に詩人として知られていた。日本語の長詩も数篇発表した。茫洋とした詩風で、中に鋭利な観察を含んでいた。抒情風の衣をまとった叙事詩、それが....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
自然と、収穫に忙しい労働の人生とが、屋根の上に飛びあがった一羽の鶏の主観の影に、茫洋《ぼうよう》として意味深く展開されているのである。 更衣《ころもがえ》野路《....
初期詩篇」より 著者:原口統三
海に眠る日 海に溶け込む太陽だ ランボオ かれは真昼の海に眠る。茫洋たる音楽のみどりに触れあう はるかな 蜃気楼の奥深くかれは眠る あふれる香髪....