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茫然
「茫然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茫然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ま》の煙《けぶり》と、右往左往に泣き惑っている女房たちの袴の紅《あけ》とが、あの
茫然とした験者《げんざ》や術師たちの姿と一しょに、ありありと眼に浮かんで、かいつ....
「影」より 著者:芥川竜之介
音楽、――陳はそう云う騒ぎの中に、一杯の麦酒《ビール》を前にしながら、たった一人
茫然と、卓《テーブル》に肘をついている。彼の周囲にあるものは、客も、給仕も、煽風....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
い》してやっていたのだ。』私は三度《みたび》意外な答に驚かされて、しばらくはただ
茫然と彼の顔を見つめていると、三浦は少しも迫らない容子《ようす》で、『それは勿論....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
あしみあし》踏み出したと思うと、「御主《おんあるじ》」と、切れ切れに叫んだなり、
茫然とそこへ立ちすくんでしまった。この薄暗い内陣《ないじん》の中には、いつどこか....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の心へ、絶望的な静かさをのしかからせたばかりだった。
お蓮はそこへ坐ったなり、
茫然と犬の屍骸《しがい》を眺めた。それから懶《ものう》い眼を挙げて、寒い鏡の面《....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
おん主《あるじ》、おん計《はか》らいに任せ奉る。」
やっと縄を離れたおぎんは、
茫然《ぼうぜん》としばらく佇《たたず》んでいた。が、孫七やおすみを見ると、急にそ....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
かさだけは妙に鮮《あざや》かに覚えている。保吉はこう云う海を前に、いつまでもただ
茫然と火の消えたパイプを啣《くわ》えていた。もっとも彼の考えはお嬢さんの上にばか....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
立ち上って電燈をともした。それからまた坐ったまま、電燈の眩《まぶ》しい光の中に、
茫然《ぼうぜん》とあたりを眺め廻した。母が父を呼びによこすのは、用があるなしに関....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
、笑っている。本間さんは何だか訳がわからないので、白葡萄酒の杯を前に置いたまま、
茫然とただ、相手の顔を眺めていた。
「それはいます。」老人はしばらくしてから、や....
「少年」より 著者:芥川竜之介
明《うすあか》りの広がっているばかりである。
保吉はひっそりした据え風呂の中に
茫然と大きい目を開《ひら》いた。同時に従来不可解だった死と云うものを発見した。―....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
はり驚いたようにこう言った。年とったもう一人の支那人も帳簿へ何か書きかけたまま、
茫然《ぼうぜん》と半三郎を眺めている。
「どうしましょう? 人違いですが。」
「....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
リストは、兵卒たちに追い立てられて、すでに五六歩彼の戸口を離れている。ヨセフは、
茫然として、ややともすると群集にまぎれようとする御主《おんあるじ》の紫の衣を見送....
「墓」より 著者:秋田滋
は出来なかったのであります。彼女が死んでしまうと、劇しい絶望のために、わたくしは
茫然としてしまって、もう考えも何もなくなってしまいました。わたくしはただ泣くばか....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
なり、二階に駆け上りて裸になりて改めれどなし。泣く悲しむという事は次になり、ただ
茫然たるばかり、面目なきながら深沢に話せば、これも仰天し、「実は伯父ご様の御文中....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
「ジャンだったのかえ」 二人の婦人には、なんのことだか訳が分らないので、ただ
茫然と老人を瞻っていた。 そこで、老人はおろおろと三たび目に云った。 「ジャン....