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茴香
「茴香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茴香の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
り着けたらしい小さな小豆を砕いた様な木の実だが、色々調べた結果、学名は日本産|大
茴香、普通に莽草又はハナシバなぞと呼ばれる木蘭科の常緑小喬木の果実であってな。シ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
い匂いだ」葉之助は幾度も深呼吸をしたが、「これは何んという花でござるな?」 「大
茴香でございます」 「おおこれが
茴香か。ふうむ、実に見事なものだ。
茴香といえば高....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
い切ってハンケチをとった。すると彼女は忽ち鼻をすん/\させて言った。 ――おや、
茴香の匂いがするよ。」 新吉の耳へ口を寄せて言った。 ――こういう家にはアブサ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
的なスープ肉、すばらしい鯉《こい》、漬《つ》け菜、鵞鳥《がちょう》、手製の菓子、
茴香《ういきょう》とキメンとのはいってるパン、などがあった。クリストフは非常に喜....
「三つの悲憤」より 著者:豊島与志雄
肉や臓物、豚の肉、まるのままの鶏、湖水のいろいろな魚や蝦、葱や大蒜《にんにく》や
茴香、栗や筍、それからまた、百年もたったという老酒の甕も取出されていました。 ....
「明日」より 著者:井上紅梅
は泣いているあの時のことを想い出した。自分は綿糸を紡いでいると、寶兒は側に坐って
茴香豆を食べている。黒目勝ちの小さな眼を瞠ってしばらく想い廻らしていたが、「媽、....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
値段が上って一碗十文になった。――もしモウ一文出しても差支えなければ、筍の塩漬や
茴香豆の皿盛を取ることが出来る。もし果して十何文かを足し前すれば、葷さの方の皿盛....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ている。彼は云う、地球の表面に他の植物がないならば、徐々としてただの一種たとえば
茴香が蔓延して全土を蔽《おお》ってしまい、またそれに他の住民がいないならば、それ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
出来ない美しい、音楽を聞くことも出来ましょう。石榴石から花が咲いて、その花の芯は
茴香色で、そうして花弁は瑪瑙色で、でもその茎は蛋白石の、寂しい色をして居ります。....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
(レイアティズに)、別れってこと、それから三色菫、これは物思いの花よ。あなたには
茴香(王に)それから小田巻。あなたには芸香(王妃に)、私にも少しとって置こう。こ....
「予言」より 著者:久生十蘭
嫌になった。そこで適当にジアールを飲んでおいて、給仕にアブサントを持ってこさせ、
茴香《ういきょう》とサフランの香に悩みながら、あおりつけあおりつけしているうちに....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
薇、仏蘭西薊《シャルドンヌ》、錦葵、ミルトと花冷えのするほどめちゃめちゃに咲き、
茴香《フヌイユ》やラヴァンドが匂い、南フランスの香水会社のお花畑のような派手な光....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
弁護士 フオル・ボロン 及び同夫人、同令嬢であった、フオル・ボロン氏は
茴香酒《ペルノオ・フィス》の匂いのする赤鼻の肥大漢、同夫人は猫背の近視眼、しかし....
「はつ恋」より 著者:神西清
木々はかすかにそよいでいた。空からは、静かな冷気が下りてきて、野菜ばたけからは、
茴香の香りが漂ってきた。わたしは、何本かの並木道をすっかり歩いてしまった。自分の....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
燈にまつわる雪のような白い蛾、小網町の鴻の巣で賞美した金粉酒のちらちら、植物園の
茴香の花、大蒜の花、銅版画は司馬江漢の水道橋の新緑、その紅と金、小林清親の横浜何....