»
茵
「茵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
、夕は紫に色を変えた。山の祖神の翁は、夕の紫の山をいちばん愛した。 翁が、草の
茵《しとね》に座って、しずかにその暮山を眺めやるとき、山のむらさきから、事実、ほ....
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
《ろぼう》に清水いづるところあり。椀《わん》さえ添えたるに、こしかけもあり。草を
茵《しとね》とし石を卓《たく》として、谿流《けいりゅう》の※回《えいかい》せる、....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
床を設け、その床は綿に包まれている。※の妻は石の榻の上に寝ていたが、畳をかさね、
茵をかさねて、結構な食物がたくさんに列べてあった。たがいに眼を見合わせると、妻は....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
そこで美しい遊女や、男色を売る少年や、十人あまりを択りあつめて、僧のまわりに
茵をしき、枕をならべさせて、その淫楽をほしいままにさせると、僧は眉をも動かさず、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の時初めて昨夜の約束を稲妻のように思い出したのである。信玄は足でも焼かれたように
茵を蹴って飛び上ったが、日頃の沈着も忘れたかのように宝蔵の方へ走って行った。 ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
も起る。夏は乞食の天国である。唯｜蚊だけが疵だが、至る処の堂宮は寝室、日蔭の草は
茵、貯えれば腐るので家々の貰い物も自然に多い。ある時、安さんが田川の側に跪いて居....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
て一寸会釈したように感じられたが、もの静かに去った。男は外国織物と思わるる稍堅い
茵の上にむんずと坐った。室隅には炭火が顔は見せねど有りしと知られて、室はほんのり....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
のとは思わなかったが、詩経で小戎の篇の小戎※収、五※梁※、游環脅駆、陰※※続、文
茵暢轂、という所と、韓奕の篇の王錫韓侯、淑※綏章、箪※錯衡、玄袞赤※、鉤膺鏤錫、....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
四辺を見るようにした。 「……」――しかし茅野雄は黙っていた。 「綺麗な草の花を
茵として、美しい婦人方が仆れております」 「さよう！」と、茅野雄ははじめて云った....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
と暖かかった。 山吹がこんもりと咲いていて、その叢の周囲には青み出した芝生が、
茵のように展べられていた。山吹の背後には牡丹桜が重たそうに花を冠っていた。お京は....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
れ、首長の瓶子には酒が充たされ、大｜盞が添えられてあり、それらの前に刺繍を施した
茵が、重々と敷かれてあったからである。 「ほう」と正次は声を洩らした。 「これは....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
見ると、小袖幕で囲い設けた立派な観桜席が出来ていて、赤毛氈に重詰の数々、華やかな
茵、蒔絵の曲禄、酒を燗する場所もあり、女中若侍美々しく装い、お待ち受けして居た所....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
。石欄より登り来る階段の上にはデジデリオ、アントオニオ、バチスタ、パリスの四人｜
茵絨毯の上に寝そべりている。 皆沈黙。風静かに扉の帷幔を動かす。しばらくあってチ....
「向嶋」より 著者:永井荷風
敷 高《たか》き樹《き》は緑《みどり》の陰《かげ》を敷《し》き 草嫩堪充
茵 草《くさ》は嫩《わか》く
茵《しとね》に充《あつ》るに堪《た》う 葭短不碍....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
一切の物を咀う。
宝を見せて促して冒険の業をもさせ、
また怠の快楽に誘うて
軟い
茵を体の下にも置き直す、
あの金銭を己は咀う。
葡萄から醸す霊液を咀う。
恋の成....