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茶壺
「茶壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茶壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
二人|淋《さび》しく立った。雨ばかり見える。叔父さんは笠の中から空を仰いだ。空は
茶壺《ちゃつぼ》の葢《ふた》のように暗く封じられている。そのどこからか、隙間《す....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
る兵士のしわざだ。 彼等は、捲きあげて水をつる井戸の釣瓶や塀の棒杭や、茶碗や、
茶壺を持ち出した。しまいに残ったのは、持って行く訳に行かない兵営の家だけになった....
「旅行の今昔」より 著者:幸田露伴
尊大に構えるのが当世ですネ。ですから左様いう人が旅行をするのは何の事は無い、「御
茶壺」になって仕舞うようなものですテ。ハハハハ。「御
茶壺」というのは、むかし将軍....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かなり多い。多人数の宿泊、もしくはお小休みの用意も忘れてはならなかった。水戸の御
茶壺、公儀の御鷹方をも、こんなふうにして迎える。しかしそれらは普通の場合である。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。」 「そんなことはありません。」 「まあ、お話しして見れば、たとえば公儀の御
茶壺だとか、日光例幣使だとかですね、御朱印付きの証書を渡されている特別な御通行に....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
家のことし八十八歳になるばばさまが、大事のへそくりの百両を、二十年ほど前に小さい
茶壺にいれて固く蓋をして、庭の植込みの奥深く、三本ならびの杉の木の下に昔から屋敷....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
蔓と瓜の実とをつなぐ臍の柄で、生り物全体の重みを支えなければならぬだけに、秀れた
茶壺の捻り返しを見るような、力と鮮やかさとを味わされることが多い。この臍を起点と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
二十五 七兵衛が何事をか注意し出したのに頓着のない与八は、珍客のために、お
茶壺から上茶を取り出して、お茶をいれにかかっていると、七兵衛が、 「若い衆さん」....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
立花家、中川、奥平、柳沢、大聖寺の前田等が最たるもので、お金御用の飛脚も行き、お
茶壺、例幣使も通るとあっては、金の落ちるのは当然であろう。 さて、この時分この....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
ら、いつかは無くなるが、西丸留守居の筒井肥前め、早く隠居を致せといわんばかりに、
茶壺と、十徳を、二度まで、出しおった。当家は、世子が、二十歳になれば、家を譲るの....
「あのころ」より 著者:上村松園
った茶櫃を五つ六つ並べておきます。 店の奥には棚ものといって上等のお茶を入れた
茶壺がたくさんならんでいました。 私は子供のころから――さよう、五つの頃から絵....
「妖怪学」より 著者:井上円了
。その後また、竹に代うるに他の器械をもってし、あるいはキセル三本を用い、あるいは
茶壺のごときものを用い、蓋に代うるに平面の板を用いたりなどせしも、みな多少その効....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
。その後また、竹に代うるに他の器具をもってし、あるいはキセル三本を用い、あるいは
茶壺のごときものを用い、蓋に代うるに平面の板を用うるも、多少その効験あるを見たり....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
御池の車屋町に上品な家があったので、そこへ移り住みました。母は茶商売をやめる時、
茶壺に残った沢山のお茶を「長年御ひいきに預りまして有難うございました」と言って、....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
てしかられたことがある。 京橋づめが池田茶舗、この店も古く、昔は店の奥に真黒な
茶壺がならんでいて、古風ないい茶店であった。茶を買いに入ると、きっといい煎茶を出....