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草の葉
「草の葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草の葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
》くするとしかしそれはまた器用に翅《はね》を使って起きかえった。そしてよろよろと
草の葉裏に這いよった。そして十四、五分の後にはまた翅をはってうなりを立てながら、....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
達者が一人ずつ目印の小旗を持って先頭に泳いだ。 水の濁りはだいぶとれたが、まだ
草の葉や材木の片が泡に混って流れている。大潮の日を選んであるので、流れは人数のわ....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
書くのを見る。その頃、藁家の軒札には虎杖村と書いてあった。 ふと、軒に乾した煙
草の葉と、蕃椒の間に、山駕籠の煤けたのが一挺|掛った藁家を見て、朽縁へ※道を向う....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
を引合わせて、胸を抱いたが、衣紋白く、空色の長襦袢に、朱鷺色の無地の羅を襲ねて、
草の葉に露の玉と散った、浅緑の帯、薄き腰、弱々と糸の艶に光を帯びて、乳のあたり、....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
らひらと引き返す。 穂は白く、葉の中に暗くなって、黄昏の色は、うらがれかかった
草の葉末に敷き詰めた。 海月に黒い影が添って、水を捌く輪が大きくなる。 そし....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
一 あれあれ見たか、 あれ見たか。 二つ蜻蛉が
草の葉に、 かやつり草に宿をかり、 人目しのぶと思えども、 羽はうすものかくされ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
止まらぬ無数の小さな球となって放心したような広い地盤上の層をなしている。一隅に夏
草の葉が光って逞ましく生えている。その叢を根にして洞窟の残片のように遺っている焼....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
洞の中は広く、滝太郎はかえって寛いで立っている。ほとんどその半身を蔽うまで、堆い
草の葉|活々として冷たそうに露を溢さぬ浅翠の中に、萌葱、紅、薄黄色、幻のような早....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
ですが、すぐに引込んでしまいました。あれは弟でしょう。 その小さいのはちょっと
草の葉を択《えら》んで食ったが、親兎は許さぬらしく、往々口を突き出して横合いから....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
か増だと思います。忘れないで、何時までも、何時までも、」 と言い言い抜き取った
草の葉をキリキリと白歯で噛んだ。 トタンに慌しく、男の膝越に衝とのばした袖の色....
「錦紗」より 著者:犬田卯
地に渦巻く水流と浮動する落花とたなびく雲のたたずまいをあしらい、その表面へ大きく
草の葉や小鳥を黄に染めぬいたその模様が、眠っても覚めてもちらついていた。誰にも売....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
墓原が薄明いのに、前途が暗い。樹立ともなく、葎くぐりに、晴れても傘は欲しかろう、
草の葉の雫にもしょんぼり濡々とした、痩せぎすな女が、櫛巻の頸細く、俯いた態で、褄....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
掛けず、黒の中折帽は仰向けに転げている。 ここからでも分るが、その白い饅頭は、
草の葉にもたせて、下に、真四角な盆のように、こぼれ松葉の青々としたのが、整然とし....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
箱を開いた。 破れかかった家は、水に臨んでその暗い影を映している、水の中には浮
草の葉が漂うている。日は山蔭にかくれて、池の面を渉る風は冷い。半ば水に浸されてい....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
萩などの秋草が乱れ咲いて朝露が粒だって葉末にとまっている。落葉がかなり散り敷いて
草の葉末にも懸ったりして見える中に、桜落葉は最も早くいたいたしく紅葉したのが其の....