草叢[語句情報] »
草叢
「草叢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草叢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俘囚」より 著者:海野十三
》とした裏庭に下りると、夫は懐中電灯をパッと点じた。その光りが、庭石や生えのびた
草叢《くさむら》を白く照して、まるで風景写真の陰画《いんが》を透《す》かしてみた....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
下に落ちて居り、弾丸は、ここに地図がありますが、線路を越してお邸の向い側にあたる
草叢から拾い出したのです。お心あたりはございませんか」 そう云って刑事は、白い....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
カーッ、ピカ。それを繰返している。それは聖橋と、お茶の水との中間にあたる絶壁の、
草叢の中からだった。 「応答して見ましょうか」参謀は、尋ねた。 「やって見給え」....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
たというのは面白い発見だネ」 「僕は耳飾から落ちた石が、もしや吸血鬼の潜んでいた
草叢に落ちていないかと思って探したんだけれど、見付からなかった。それからジュリア....
「地球盗難」より 著者:海野十三
、変だろう。甘汁をこんなに綺麗に嘗めたやつは何だろう」 お美代はソッとあたりの
草叢を見まわした。もしや蛇かなんかが、その辺にいるのではないかしらと思って……。....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
た。では千早館へ行きましょう」 と、春部はきっぱりいって、手に持っていた竹竿を
草叢に落とした。 8 帆村は、小型のピストルを春部に渡した。帆村の手....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
言った。 「よい、よい、遠くなり、近くなり、あの破鐘を持扱う雑作に及ばぬ。お山の
草叢から、黄腹、赤背の山鱗どもを、綯交ぜに、三筋の処を走らせ、あの踊りの足許へ、....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
をあげて無言で前方を指した。 「ナ、なッ……」 学士は愕いて、ミドリの指す前の
草叢を見た。 「呀ッ。……羽沢飛行士が倒れている! これはどうした。ああッ……」....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
た処を、唯今眠りおる少年の、身にも命にも替うる願あって、身命を賭物にして、推して
草叢に足痕を留めた以来、とかく人出入騒々しく、かたがた妨げに相成るから、われら承....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
を刈った、刈株の残って居る畠であった。所々丘のように高まって居る。また低い木立や
草叢がある。暫く行くと道標の杙が立って居て、その側に居酒屋がある。その前に百姓が....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
面の火の海となって了いました。折から猛しい疾風さえ吹き募って、命のくぐり入られた
草叢の方へと、飛ぶが如くに押し寄せて行きます。その背後は一|帯の深い沼沢で、何所....
「栖鳳先生を憶う」より 著者:上村松園
ったもので応挙を遥かに越えたものだと今でも浮かんで出て来ます……。それに、〈春の
草叢〉と題して庭園の春の芭蕉の下に鼬を描かれた出品画なども大変に当時の画壇に反響....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
っつける、感付かれないように、――静かに歩いてくれ」 風に竹の葉が鳴っている。
草叢の中に身を沈め、じりじりと小屋のぐるりに進み寄った。 赤星は突然合図の右手....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
た。水際には名も知れぬ雑草が蔓っていました。私達の靴音に驚いて、五六寸位の小蛇が
草叢から逃げ出して、スルスルと堀割の中に飛び込みます。一度逃げ損なった小蛇を踏ん....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
が飛びあがることがある。彼の羽色は濃い茶褐色で落葉の色に似通っているところから、
草叢の間を歩いているときなどは余程近くに在っても中々見定めにくいのであるが、その....