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「草屋根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

草屋根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
岩石の間」より 著者:島崎藤村
きから遠い南|佐久《さく》の奥の高原地がそこから望まれた。近くには士族地の一部の草屋根が見え、ところどころに柳の梢の薄く青みがかったのもある。遅い春が漸《ようや....
旧主人」より 著者:島崎藤村
笑った女が有ましたろう。 丁度、日の光が灰色な雲の間から照りつけて、相生町通の草屋根の雪は大な塊《かたまり》になって溶けて落ちました。積った雪は烈《はげ》しい....
芽生」より 著者:島崎藤村
《ここち》は、やがて、私を小諸の家へ急がせた。 漸《ようや》く春が来た。北側の草屋根の上にはまだ消え残った雪があったが、それが雨垂のように軒をつたって、溶け始....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の一|隅を占めている。窓は四つある。その一方の窓からは、群立した松林、校長の家の草屋根などが見える。一方の窓からは、起伏した浅い谷、桑畠、竹藪などが見える。遠い....
」より 著者:島崎藤村
師の門を出た。一歩家の方へ踏出してみると復た堪え難い心に復った。三吉は自分の家の草屋根を見るのも苦しいような気がした。 家にはお雪が待っていた。何処までも夫を....
」より 著者:島崎藤村
最早あの声も弱って来ました」と三吉は答えた。 女教師が帰って行く頃は、植木屋の草屋根と暗い松の葉との間を通して、遠く黄に輝く空が映った。三吉は庭に出た。子供の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
蒲団の中でも足の先が縮こまる程いやに冷たい、と思うと明くる朝は武蔵野一面の霜だ。草屋根と云わず、禾場と云わず、檐下から転び出た木臼の上と云わず、出し忘れた物干竿....
丹下左膳」より 著者:林不忘
、背戸口から裏にかけては畑がつくってあろうという、半農半漁の檐《のき》かたむいた草屋根です。 「どうじゃな、お客人。気がつかれましたかな」 火のない炉ばたに大....
口笛を吹く武士」より 著者:林不忘
ごしらえが二人、せっせといそぎ足に、ひだり手には、杉、欅《けやき》の樹を挾んで、草屋根の檐《のき》に赤い提灯をならべ、黒ずんだ格子をつらねた芳屋、樽や、玉川など....
不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
った。その中には二疋の犬が長い舌を出し出し交っていた。路の右手に夕陽を浴びた寺の草屋根が見えて来た。 「あすこに寺があったかなあ」と、監物は銃を左の肩に置きかえ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、今しも中流を流れ行く一軒の破家《あばらや》の屋根のあたりであるらしく見えます。草屋根の流れて行く方向へ斜めに、或る時は濁流の中にほとんど上半身を現わして、尾を....
美しい村」より 著者:堀辰雄
の眼下に、高原全帯が大きな円を描《えが》きながら、そしてここかしこに赤い屋根だの草屋根だのを散らばらせながら、横《よこた》わっているのを見下ろすことが出来た。そ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
な危機にも面《めん》しなければならぬ。 蛇が出ても……。 鬼がとびだしても。草屋根の門ぎわに、いっぱいの萩の株が、雨にたたかれ、風にさわいで、長い枝を地《つ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
。どこ迄行きてももとは荒野なりしが、町つづきになりて、ビルヂング様の建物も見え、草屋根の家などは一向見えず、いやに開けたものと呆れ申候。 千葉あたり田舎の家屋は....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
でした。××行きでございます……」 米泥のM公 いつ見ても腐れ切った草屋根のところどころ雨漏りのする個所へ煤けきった板など載せて、北側の荒壁は崩れる....