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草木
「草木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
ある。男はこの時妻の微笑に、何か酷薄《こくはく》なものさえ感じた。日の光に煙った
草木《くさき》の奥に、いつも人間を見守っている、気味の悪い力に似たものさえ。
「....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
《ね》を楽しんでいました。するとまた不思議なことには、どんな鳥獣《とりけもの》や
草木《くさき》でも、笛の面白さはわかるのでしょう。髪長彦がそれを吹き出すと、草は....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂《はんも》する
草木《そうもく》とを描《か》いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
われ、その一部始終を心の中《うち》に繰返しつつ、異国より移し植えたる、名も知らぬ
草木《くさき》の薫《かぐわ》しき花を分けて、ほの暗き小路を歩み居しが、ふと眼《ま....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ながら、まだ女たちの笑い声が聞えた。が、間もなくそれも消えて、後《あと》にはただ
草木の栄《さかえ》を孕《はら》んだ、明るい沈黙があるばかりになった。……
何分....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
描いてくれる。画は墨を使うばかりではない。僕の姉の水絵の具を行楽の子女の衣服だの
草木の花だのになすってくれる。唯《ただ》それ等の画中の人物はいずれも狐の顔をして....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
けは心配でなりません。どうかこの姥《うば》が一生のお願いでございますから、たとい
草木《くさき》を分けましても、娘の行方《ゆくえ》をお尋ね下さいまし。何に致せ憎い....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
ね》をする。彼はちょっとためらった後、望遠鏡に海の上を覗いて見る。彼等のまわりの
草木《そうもく》は勿論、「さん・せばすちあん」の法服は海風の為にしっきりなしに揺....
「或る女」より 著者:有島武郎
》をもらすための対象がぜひ一つ必要になって来た。人でなければ動物、動物でなければ
草木、
草木でなければ自分自身に何かなしに傷害を与えていなければ気が休まなくなった....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ゃくしゃしながら馬力を引ぱって小屋の方に帰って行った。だらしなく降りつづける雨に
草木も土もふやけ切って、空までがぽとりと地面の上に落ちて来そうにだらけていた。面....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だから、外界と自己との間には無機的な因縁があるばかりだから。私は石から、せめては
草木なり鳥獣になり進んで行きたいと希う。この欲求の緊張は私を駆って更に異った生活....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
しかも狩猟の獲物の欠乏のために他の栄養物を求めるような場合に至って、そこで初めて
草木の実や、食用に適する根の類をも珍重することを覚えたのであろう。もっともこれら....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ございます。大体は地上の庭園とさしたる相違もございませぬが、ただあんなにも冴えた
草木の色、あんなにも香ばしい土の匂いは、地上の何所にも見受けることはできませぬ。....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
の多くは、芝居や吉原に打興じようとする者、向島へ渡るものは枯草の情趣を味うとか、
草木を愛して見ようとか、遠乗りに行楽しようとか、いずれもただ物見遊山するもののみ....
「墓」より 著者:秋田滋
一八八三年七月十七日、
草木もねむる真夜なかの二時半のことである。ベジエ墓地のはずれに建っている小さなほ....