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草稿
「草稿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草稿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
、流行の茶の背広を一着して、金の指環《ゆびわ》をはめた手を動かしながら、鞄の中の
草稿を取り出したりなどしていると、殊に講壇よりは事務机の後《うしろ》に立たせて見....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
を表する。いつか、あの男の部屋を訪問した時、実際あの男は、もう三百枚もあるという
草稿を俺に見せた。その上、少年時代からずうっと書き溜めたという高さ三尺に近い原稿....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
十一月十五日栃木県氏家在狭間田に開かれたる聖書研究会に於て述べし講演の
草稿。 聖書は来世の希望と恐怖とを背景として読まなければ了解らない、聖書を単に....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
う云ってる不機嫌の教授に訣れを告げて、復一は中途退学の形で東京に帰った。未完成の
草稿を焼き捨てるとか、湖中へ沈めるとかいう考えも浮ばないではなかったが、それほど....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の最も偏奇な趣味である古今東西の大火史を、滔々と弁じ立てるのだが、その日は法水が
草稿を手に扉を開くと、内部は三十人ほどの記者達で、身動きも出来ぬほどの雑沓だった....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
だけなので、司会者は僕の名も何にも知らなかったのだ。 コロメルの演説の間、僕は
草稿をつくっていた。そしてその演説の終り頃に演壇の上の弁士席についた。コロメルが....
「諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
文さんが欲しがって、例の覗眼鏡の軍艦の下を張る反古がなかった処、魯文さんが自分の
草稿|一屑籠持って来て、その代りに欲しがっていたゴム枕を父があげた事を覚えていま....
「河霧」より 著者:国木田独歩
間に合わした。 明日は開校式を行なうはずで、豊吉自らも色んな準備をして、演説の
草稿まで作った。岩――の士族屋敷もこの日はそのために多少の談話と笑声とを増し、日....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
て死んでしまった。わたしは彼が死ぬまでその原稿を密封しておいた。以下は彼の事件の
草稿で、一八八五年の日付けになっていた。 私の医者はわたしに休養、転地の必要が....
「瘠我慢の説」より 著者:榎本武揚
福沢先生の手簡 拝啓仕候。陳ば過日|瘠我慢之説と題したる
草稿一冊を呈し候。或は御一読も被成下候哉。其節申上候通り、何れ是は時節を見計、世....
「絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
なくて名を挙げるためだという風に見え過ぎます。毎年のことですが帝展前になりますと
草稿を持って何人も何人もの先生の処に見て貰って廻わる若い人の話を聞きますが、これ....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
きょうでん》は、旧臘《くれ》の中《うち》から筆を染め始めた黄表紙「心学早染草」の
草稿が、まだ予定の半数も書けないために、扇屋から根引した新妻のお菊《きく》と、箱....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
鵯が南天燭の実、山雀が胡桃ですか、いっそ鶯が梅の蕾をこぼしたのなら知らない事――
草稿持込で食っている人間が煮豆を転がす様子では、色恋の沙汰ではありません。――そ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、伯爵の必要に応じて、いつでも助力に馳せつける身構えだった――助言とか、公文書の
草稿とか、念入りな象徴的祝辞文(つまり女王の御機嫌をとるための、長たらしいエリザ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
。寂しいが私はこれ以上は望むまい。 こういう序文が附加えられて、一冊の白隠伝の
草稿が無理にわたくしの手許に預けられてある。それは隣のS夫人が書いたものだ。 ....