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草露
「草露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草露の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
った田であることは、私にも見分けがつく。 朝日は谷々へ射して来た。 田圃道の
草露は足を濡らして、かゆい。私はその間を歩き廻って、蟋蟀の啼くのを聞いた。 こ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
につけたまま、ジリリ、ジリリと、爪先《つまさき》きざみに詰めよって行く。 もう
草露もほしあがるほど、夏の陽は強く照りわたって、ムッとする土いきれが、この庭|隅....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
だから、ペトラはあの、アンダルシアの荒野に実る黒苺みたいな緑の髪と、トレドの谷の
草露のように閃めく眼と歯をもつ生粋のすぺいん児だったが、仮りに往時の主馬頭内室ほ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
後をつくでもなければ虚を狙うでもなくこの修羅場をまえにして今までのんこのしゃあと
草露にゴロリと寝ころんで見物していたのは、べつに栄三郎に不実なわけではない。まっ....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
幼稚き我は送葬の列に加わらざりしも、他の三人の叔は後れ先ちて、いずれもこの青山の
草露しげき塚の主となり給いつ、その間に一人の叔母と一人の姪をも併せてここに葬りた....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
の見方にしても、一番いいものの中から、一番いいところばかりを見ておられる。一例を
草露貫珠に見てみても、やっぱり羲之型であり、韻会型であって、内容もそれらの重厚で....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
来る。 武蔵は、道の草を見ながら踏んだ。自分の踏んで行く先に何者の足痕か、その
草露はおびただしく汚れていた。 蜿々と、道は山を旋り巡って、やがて、東を望む平....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
細い影法師を、ふらふらと、青い月の色へよろめかせて行った。 大地いッぱいに光る
草露は、みんな、泣かぬ自分の涙かとも思えて、 「ああ、ぜひがねえ」 今は! …....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
」 異存はなかった。 駕へ、酒をつませて、今市を指して飛ばした。夜を越して、
草露に濡れた駕が、へとへとに疲れて、酒と白粉の宿場へ、抛りこまれたのはその翌日―....