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「荒ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荒ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
に居止り、東屋氏と私と黒塚、洋吉の両氏、そして署長を加えた五人は、強い疾風の吹き荒ぶ中庭を横切って、別館の船室――キャプテン深谷の秘密室へ走り込んだ。 ....
玄海灘密航」より 著者:金史良
時に××山の麓に来たらいいと云うのである。私は驚いて振り返って見た。だが男は吹き荒ぶみぞれの中に、どこかへ消え失せてしまった。さすがに私はその晩いろいろと苦しみ....
琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
ら左へ、青木は右へと別れたのである。私達が丁度自宅の前辺り迄来た時に、遙かに吹き荒ぶ嵐の中から人の叫声を聞いたと思った。 二人は走り出した。番小屋の人も走り出....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、白花の石楠花が、この生体のない人の頬に匂っている。 耳を澄まして、谷間に吹き荒ぶ風の声を聞くと、その怖ろしさといったらない、初めは雷とばかり思っていた、あま....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
る。…… が、燃立つようなのは一株も見えぬ。霜に、雪に、長く鎖された上に、風の荒ぶる野に開く所為であろう、花弁が皆堅い。山吹は黄なる貝を刻んだようで、つつじの....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
すれば、クリスマスには二重のよろこびを持てるわけでした。身を切るような寒風の吹き荒ぶその日、ネルロは波打つ胸をおさえて、いよいよでき上った苦心の画を、牛乳車にの....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
キャサリン・ディ・マットス夫人は作者の従妹であって、献詩のヒースの生い茂り風吹き荒ぶ北国は彼等の故郷スコットランドをさすのである。 一九四〇年十一月佐々木直次郎....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ものですな。神様の術を盗みましたかな」 「あるいは神様の分身であるかも知れぬが、荒ぶる神で、和魂というものが生じていないから、扱いに困却いたしておる」 「和魂を....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
てられておりましたからです。はからずも十一月十一日は赤裂地尊の祭日で、この地神は荒ぶる神、一名赤裂血とも書き、血を最も愛する魔神とされているのですが、この魔神の....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
によると、どうやら近ごろは平作のこの心境までぐらついてきたらしいぞ」 天心堂は荒ぶる神がゴセンタクをくだすようにカッと目をむいて語りつづける。 「どうしてそう....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
できなかった。閉め忘れた裏木戸が、風のためにバタンバタンと鳴りつづけ、大道を吹き荒ぶ風は、松飾りに浪のような音を立てさせている。ふと、その響きに、彼は夷岐戸島の....
荒磯の興味」より 著者:佐藤惣之助
となぞは考えない、又考えたらそんな冒険的な行為が恐ろしくなるが、只この健康、この荒ぶる感情、その行動というものが、得も云われず一種の壮快さを齎らすのだ。たった一....
朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
て幅広い弾奏だった。十三弦は暴風雨《あらし》を招《よ》んで、相模《さがみ》の海に荒ぶる、洋《うみ》のうなりと、風雨の雄叫《おた》けびを目の前に耳にするのであった....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
ていずくに山ありとも日ありとも見えわかず、天地一つに昏くなりて、ただ狂わしき雷、荒ぶる雨、怒れる風の声々の乱れては合い、合いてはまた乱れて、いずれがいずれともな....
本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
怪我も、この死霊や凶霊の為す仕業と考えていたのであるから、その死霊の発散して疎び荒ぶることを恐れて、かくは屍体を緊縛するようになったのである。我国で古く鎮花祭《....