荒る[語句情報] »
荒る
「荒る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荒るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「田舎教師」より 著者:田山花袋
一夜凩が吹き荒れて、雨に交って霙が降った。父と母と清三とは炬燵を取りまいて戸外に
荒るるすさまじい冬の音を聞いていたが、こうした時に起こりかけた一家の財政の話が愚....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
豕小屋に似たり共、爾の働く舞台は青天の下、大地の上である。爾の手足は松の膚の如く
荒るゝ共、爾の筋骨は鋼鉄を欺く。烈日の下に滝なす汗を流す共、野の風はヨリ涼しく爾....
「易の占いして金取り出したること」より 著者:南方熊楠
六に『国史補遺』を引いて、晋の隗※、易を善くす、臨終に妻子に告げたは、後来大いに
荒るるといえども宅を売るなかれ、今より五年して、詔使の※氏がここへくるはず、この....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
を挙げる、私は孤独だ、天もなく、地もなく、ただ幾団が幾団に、絶えず接触して、吹き
荒るる風と霧があるのみだ、宇宙におよそ蕭殺の声といったら、高原の秋の風でもなけれ....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
ずくの点滴の音がきりぎりすの声にオーバーラップし、「芭蕉野分して」の句では戸外に
荒るる騒音の中から盥に落つる雨漏りの音をクローズアップに写し出したものである。ま....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
コン卿の『シルヴァ・シルワルム』に、犬が犬殺しを識るは普通に知れ渡った事で、狂犬
荒るる時|微《ひそ》かに卑人を派して犬を殺さしむるに、かつて犬殺しを見た事もなき....
「ほととぎす」より 著者:堀辰雄
子はどうしているか」などとお書き添えになられるのだった。「山賤《やまがつ》の垣は
荒るとも」などと云う古歌を思い出されてか、そんな撫子《なでしこ》なんぞとあわれな....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
いてごらんなさい。その二階はとなりの階下の天井より僅かに少し高いくらいで、しかも
荒るるがままに荒れ果てた屋根や、ガラスの代りに紙を貼った窓や、色も何も失っている....
「源氏物語」より 著者:紫式部
んな手紙」 と源氏が聞いた。 「なに、平凡なものですよ。『山がつの垣《かき》は
荒るともをりをりに哀れはかけよ撫子の露』ってね。私はそれで行く気になって、行って....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
許ふらふらとして倒れんとす、さては余の眠れる間に、天候にわかに変り、海上はよほど
荒るると見えたり、願わくは波速かに静まれと祈りつつ、ふたたび船底に身を横たえる、....
「九条武子」より 著者:長谷川時雨
らの知らであること ――歌集『薫染《くんぜん》』より―― はつ春の夜《よ》を
荒るる風に歯のいたみまたおそひ来ぬ―― この最後の一首は、磯辺《いそべ》病院....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
にも味方にも畏れられたも無理はない。その名城も主人をうしのうて、今は狐狸の棲家、
荒るるがままに任かしてあるが、白鷺の名を呼ばるる城の壁は、あめ風にくずれもせいで....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
、土間の榾薪に、腰をおろし、火桶に顔をかざしながら、話も遠慮がちに、黙然と、吹き
荒るる雪の音を聞いていた。 女は、炉べりに、縫物をひろげ、これも黙って、後ろ向....
「山の人生」より 著者:柳田国男
其事を語りければ、山父と云ふもの也。人に害を為す者に非ず。之を犯すことあれば、山
荒るゝと謂ひけると也。」 スキーで近頃有名になった信越の境の山にも、半分ほど共....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
できぬということは異教徒の多く住んだ町々の焼け跡にまだ一軒の小屋も建たず、夏草の
荒るるに任せてある状況をいちべつしても明らかでありましょう。浦上一万戸のうち現在....