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「荒天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荒天の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
喝采」より 著者:太宰治
す。わが名は、狭き門の番卒、困難の王、安楽のくらしをして居るときこそ、窓のそと、荒天の下の不仕合せをのみ見つめ、わが頬は、涙に濡れ、ほの暗きランプの灯にて、ひと....
単独行」より 著者:加藤文太郎
のき、山はゴーと凄い音を立て、青空はすでに刷毛で掃いたような雲におおわれて明日の荒天を判然と示してきた。温度も急に下り、僕はなんだか身顫いするような不安に襲われ....
正義と微笑」より 著者:太宰治
し。ほんにいい機会じゃござんせんか。明日からは、もう家の世話にはなりませぬ。ああ荒天よ! 魂よ! あすから僕の世渡りだ。また、眼前に幻影が浮ぶ。 おそろしく鮮....
」より 著者:梶井基次郎
かって沈んでしまったのだ。鉄工所の人は小さなランチヘ波の凌ぎに長い竹竿を用意して荒天のなかを救助に向かった。しかし現場へ行って見ても小さなランチは波に揉まれるば....
火星探険」より 著者:海野十三
星人たちは、さかんに棒をぐるぐる頭の上でふりまわした。風は烈しさを増し、宇宙艇は荒天の中の小星のようにゆさゆさ揺れはじめた。 「これはえらいことになったぞ」 ....
怪塔王」より 著者:海野十三
ような雨は、海面をめちゃくちゃに叩きつけています。 「これはたいへん。ものすごい荒天だ」 飛行機は、水の中を飛んでいるように見えます。視界ははなはだせまい。怪....
人造人間事件」より 著者:海野十三
で書いてある」 係官は、その暗号表を引張りあいながら覗きこんだ。 「ほうほう、荒天――首ヲ左ニ曲ゲル。魚雷――首ヲ前後ニ振ル。なるほど、いろんな暗号が書いてあ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なかったのである。がシーザーが笑っていたのは確かだった。 早くも前夜の一時に、荒天と降雨との中をベルトランとともに、ロッソンム付近の丘陵を馬上で検分しながら、....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
十ほどの小舟が親船にひかれて、走り去る。なんの怒号もなければ、劇的な動作もない。荒天のうねりの高く砕け狂う日も同じことで、平々凡々にでかけて行くだけのことである....
わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
な、彼は諦めてゐるのである、何しろ天地は戦争だ、一晩酔つ払つて帰つて行つた。私は荒天の日本海で、泳ぎばかりではない、駈けたり、跳んだり、逃げる用意も、穴ボコへ誰....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
で、秋がふけると、海辺に立つ人の姿は私一人だけになる。秋になると、日本海は連日の荒天だ。浜には人の姿もなく、人の歩いた跡もない。波にクルクルまかれているのは、言....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
いて樹木がざわざわする夜などは飼主の心配は一通りでない。神経質で気のあらい軍鶏は荒天に刺激されて鶏舎の中で大騒ぎをはじめる。そして鶏は肉痩せ、大風の後には相当の....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
装で、長刀佩いてヌタクリ出で、さて大見得を切った後、 「東夷南蛮|北狄西戎西夷八荒天地|乾坤のその間にあるべき人の知らざらんや、三千余里も遠からぬ、物に懼じざる....
おみな」より 著者:坂口安吾
私は泳ぎがうまく、蛤や浅蜊を拾う名手であった。十二、三の頃の話だ。夏も終りに近い荒天の日で、町にいても海鳴りのなり続く暗澹たる黄昏時のことであったが、突然母が私....
審判」より 著者:カフカフランツ
ほうに曲げたが、今やっと説教壇の天蓋が彼を押えつけはじめたようだった。外はどんな荒天だろうか? もう陰鬱な日中ではなく、すでに夜もふけていた。いくつもの大窓のガ....