荒漠[語句情報] » 荒漠

「荒漠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荒漠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
って考えし問題でありました。国は小さく、民は尠《すくな》く、しかして残りし土地に荒漠多しという状態《ありさま》でありました。国民の精力はかかるときに試《た》めさ....
一兵卒」より 著者:田山花袋
あそこにいるよりは、この闊々とした野の方がいい。どれほど好いかしれぬ。満洲の野は荒漠として何もない。畑にはもう熟しかけた高粱が連なっているばかりだ。けれど新鮮な....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
蒼白く、窟内一杯に充ちている。 こうして今の時間にして一時間余も歩いた時、突然荒漠たる平原を、彼は眼前に見ることが出来た。 空は高く且つ暗く、星のない闇夜を....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
稀薄な曠野の果てに、剣のような嶺々が、万古の雪をいただいて連なっている。 その荒漠たる虚無の中へ、ただ一筋の鉄道が、あたかも文明の触手とでもいったように、徐々....
トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
のようになって勇吉の妻の眼に映って見えた。雪、雪、雪、何処を見ても雪ばかりの広い荒漠とした野原の中の停車場が見えるかと思うと、何本もわからないほどの煙突が黒い凄....
死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
、鉄骨、流れ藻のように手足に絡まる電線、石、瓦、煉瓦、灰、消え残りの火、煙。私は荒漠たる焼け跡を通って本石町の方へ往き、そこから新常盤橋を渡って東京駅へと往った....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
た。西の方に低く夕陽が一筋火のように真赤な線を残して消えてしまった。それが一瞬間荒漠たる四辺の風物の上に、陰惨な眼のようにあかあかとぎらついていたが、だんだん低....
白銀の失踪」より 著者:ドイルアーサー・コナン
のはもう夕方であった。タヴィストックはまるで楯の中央の突起のように、ダートムアの荒漠たる土地の中央にぽつんと存在する小さな市である。着いてみると、二人の紳士が停....
不周山」より 著者:井上紅梅
の果の真赤の雲の間には光芒四射する太陽が一つあって流れ動く金の玉のごとく、大昔の荒漠たる溶岩のなかに包まれている。その一方には鉄のように冷く白い月がある。彼女は....
新疆所感」より 著者:日野強
をこの地方に扶植し、牢として抜くべからざる根柢を培養し、天然的国境を清国領土中の荒漠たる地方に求むるは、ひとり露国のために最大の利益たるのみならず、かくの如き境....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
ら、いま来た方へ走り去ってしまった。 竜太郎は、鞄の上に腰をかけて、改めてこの荒漠たる風景を眺めわたした。月もなく星もなく、ただ一面に黒々とした、空寂な世界だ....
金狼」より 著者:久生十蘭
て行った。左手にはどす黒い溝渠《ほりわり》をへだてて、川口改良工事第六号埋立地の荒漠たる地表がひろがっていて、そのうえを無数の鴎が舞っていた。 その男は製粉会....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
えば、海抜千メートル以上のアンデス山脈をこえ、昼なお暗い深林を通り、パタゴニアの荒漠たる草原を横断せねばならない。そのうえに、パタゴニアの蛮人どもは、諸君を歓迎....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
谷千代子のことなんか思わない。 決心につれて涙がこぼれる。立ち尽すと私は初めて荒漠なあたりの光景に驚かされた、かすかな深夜の風が玉蜀黍の枯葉に戦いで、轡虫の声....
西航日録」より 著者:井上円了
て、 汽車までが大国気取る露士亜かな 翌九日、早朝より車外を望むに、四面一体に荒漠無限の平原にして、森林数里にわたり、その間往々麦田を挟むを見る。しかして人家....