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「荷札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荷札の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
れられて、そのお礼も済ませて来た。その人がこの近所では最も熱心な信者だった。 「荷札は?」信子の大きな行李《こうり》を縛ってやっていた兄がそう言った。 「何を立....
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
混乱と間違いとを防ぐために、組ごとに荷物をひと纏めにして、その荷物にはまた銘々の荷札をつける。それを今夜じゅうにみな済ませて置けという支配頭からの達しが俄かに来....
三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
に持たせる手荷物には、きまって、赤インキで筆太に、三の字を書いた、小さな洒落れた荷札がついているのであった。 旅客の持っている手荷物、乃至は手荷物を持っている....
風琴と魚の町」より 著者:林芙美子
て帯を結んでいた。もう、黄いろいご飯も途絶え勝ちになった。母は、階下のおばさんに荷札に針金を通す仕事を探してもらった。父と母と競争すると母の方が針金を通すのは上....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
のに、いつまでも到著せぬので、どうした事かと案じていた。殊に比良野助太郎と書した荷札が青森の港に流れ寄ったという流言などがあって、いよいよ心を悩まする媒となった....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
と大腿の一部を覗かせているだろうし、そして花輪のようなその靴下留めには、例外なく荷札みたいな一片の紙が附いてるだろうから――「|あなたへ!」と優にやさしく書かれ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
かがそのまま故国の従柿妹へ郵送出来るように、一、二輪ずつ金粉煙草の空缶へはいって荷札までついていて、値段は五十|法です。なかには、物を舐める習癖のある赤ん坊はこ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
(六月一日)煉瓦色の獄衣に変って、頭も丸刈にされた顕治に面会した。彼は作業として荷札つくりをはじめていた。 未来の大芸術家は、記念すべき時代の実に高貴な人間歓喜....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
て置きやんす」 と云いながら、縁側の方を見ますと、旅荷物に縛り附けてございます荷札に、鹽原角右衞門と筆太に書いてありますゆえ、多助は気が注きまして、思わずずか....
日記」より 著者:宮本百合子
来て呉れた。が、荷がまだすっかり出来上って居ない。木箱の蓋が打ちつけてないのに、荷札もつけてない。到頭十時二十分の大船で乗り換えるのにした。 国男さんが居るの....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
伝った暁の光が射し込んで、屍体の足の下に、その爪先きとほとんどすれすれに、宇治と荷札を貼った茶の空箱が置かれてあるのが、浮かぶように藤吉の眼に入った。 「見込み....