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「荷物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荷物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
はもうあの頃から支那人にだけはなりすましていた。元来天下に国籍くらい、面倒臭いお荷物はない。ただ支那と云う国籍だけはほとんど有無《うむ》を問《と》われないだけに....
妙な話」より 著者:芥川竜之介
赤帽は見えなかった。しかし後にはいないにしても、前には赤帽が二人ばかり、自動車に荷物を移している。――その一人がどう思ったか、途端にこちらを見返りながら、にやり....
或る女」より 著者:有島武郎
》いような暖かい蒸気が甲板の人を取り巻いて、フォクスルのほうで、今までやかましく荷物をまき上げていた扛重機《クレーン》の音が突然やむと、かーんとするほど人々の耳....
或る女」より 著者:有島武郎
くてれたように首を振った)……ええわ、じゃ電報を打ってから先に行くがいい。わしは荷物をして今夜あとから行くで」 そういわれてみると葉子はまた一人《ひとり》だけ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
れに応《こた》えた馬があった。跡は風だけが吹きすさんだ。 夫婦はかじかんだ手で荷物を提《さ》げながら小屋に這入った。永く火の気は絶えていても、吹きさらしから這....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
みだ》が出てきそうだった。 半分こげたり、びしょびしょにぬれたりした焼け残りの荷物といっしょに、ぼくたち六人は小さな離《はな》れでくらすことになった。御飯は三....
星座」より 著者:有島武郎
た。その間に汽船の警笛が、耳の底に沁《し》みこむように聞こえている。空荷になった荷物橇《にもつぞり》が、大きな鈴を喉《のど》にぶらさげて毛の長い馬に引かれながら....
婦系図」より 著者:泉鏡花
装が可いと威が備わる。それに焦茶の肩掛をしたのは、今日あたりの陽気にはいささかお荷物だろうと思われるが、これも近頃は身躾の一ツで、貴婦人方は、菖蒲が過ぎても遊ば....
親子」より 著者:有島武郎
れた時のしぐさであると同時に、何か心にからんだことのある時のしぐさだ。彼は座敷に荷物を運び入れる手伝いをした後、父の前に座を取って、そのしぐさに対して不安を感じ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
の縋った、霜の翁は、旅のあわれを、月空に知った姿で、 「早く車を雇わっしゃれ。手荷物はあり、勝手知れぬ町の中を、何を当にぶらつこうで。」と口叱言で半ば呟く。 「....
」より 著者:池谷信三郎
そりゃお金持なのよ。銀行が取付けになるたびに、お父さまの心臓はトラックに積まれた荷物のように飛び上るの。 ――ほう。 ――この間、いっしょに女学校を出たお友だち....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
。しかしそれは仕方がない。身体一つならどうでも可いが、机もあるし本もある。あんな荷物をどっさり持って、毎日毎日引越して歩かなくちゃならないとなったら、それこそ苦....
母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
います。」 といいました、そしてまた消えてゆくような声で、 「奥さま、わたしの荷物と、この少しばかりのお金を家の者に送ってやってください、私はこれで死んでゆき....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
あるにはある、けれども、田植時で舁き手がない。……大庄屋の家の屈強な若いものが、荷物と案内を兼ねて、そこでおかしいのは、(遣りきれなくなったら負さりたまえ。)と....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
で、検束するのに警官五、六人がかからねば始末におえない。このとき、暴れたあげく、荷物のように警察のトラックにほうりこまれた。若き日の思い出はつきない。 五、検束....