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「荷船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荷船の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
物をカバン一個《ひとつ》につめ込み民子とお増に送られて矢切の渡へ降りた。村の者の荷船に便乗する訣でもう船は来て居る。僕は民さんそれじゃ……と言うつもりでも咽《の....
「新生」より 著者:島崎藤村
都会の真中とも思われないほど清い夏の朝の空気を胸一ぱいに吸って、復《ま》た多くの荷船の通う中を漕ぎ帰って来たのもその石垣の側だ。 「岸本さん」 と呼びかけて彼....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
だからといって、一気に江戸や上総房州まで泳ぎ着ける筈はありませんから、その途中で荷船でも漁船でもなんでも構わない、見あたり次第に飛び込んで、食い物をねだって腹を....
「河明り」より 著者:岡本かの子
どの慾も起らない河面の景色を、それでも好奇心で障子を開けてみた。硝子戸を越して、荷船が一ぱい入って向うの岸は見えない。その歩び板の上に、さき程の娘は、もう水揚げ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
った二本マストもしくは一本マストの帆前船から、従来あった五大力の大船、種々な型の荷船、便船、漁り船、小舟まで、あるいは碇泊したりあるいは動いたりしているごちゃご....
「足迹」より 著者:徳田秋声
夫の姿が、時々お庄の目に侘しく映った。碧黒くおどんだ水には白い建物の影が浸って、荷船が幾個か桟橋際に繋がれてあった。お庄はもう暮が近いと思った。 部屋を掃除し....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
ある。 突然すぐ前の溝の中から呼びかけるものがある。見ると川のほうから一｜艘の荷船がいつのまにかはいって来ている。市中の堀などでよく見かけるような、船を家とし....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、それを見てすらぎらぎらと眼が痛む程の暑さであった。 私は弁当を仕舞ってから、荷船オデッサ丸の舷にぴったりと繋ってある大運搬船の舷に、一人の仲間と竝んで、海に....
「東京要塞」より 著者:海野十三
れるというのさえ大変なことだのに、その上、昨年建造したばかりの精鋭マール号をその荷船として派遣するなんて、ちと大袈裟すぎると思わないか」 「時局がら新造艦マール....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ったり縮んだりする起重機の媚姿・その煽情的な会話――かた・かた・かた――と、黒い荷船の群集・乾燥した地表の展開・業病に傾いた建物の列・目的のはっきりしない小船の....
「蛍」より 著者:織田作之助
通で、下りも同様、自然伏見は京大阪を結ぶ要衝として奉行所のほかに藩屋敷が置かれ、荷船問屋の繁昌はもちろん、船宿も川の東西に数十軒、乗合の三十石船が朝昼晩の三度伏....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
と約束しておいてくれたらしく、朝の八時頃には、家のすぐ裏の河岸に、日田米をつんだ荷船がつながれていた。船賃も夫人が払ってくれた。 三人はまるでお伽噺の世界の人....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
格子に黒い船……こういう唄がはやっているからよ。……それにこの頃犬吠付近で、よく荷船が襲われるそうだ」 「それは事実でございます」 「だから、俺は、そう睨んだの....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
のが、ここへ来た記念なのですが、あまり人が混んでますから、別の所へ行きましょう」荷船の繋がったり漕ぎ通ったりしているいくつかの川や堀割の岸を、俥で過ぎて、細い河....
「歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
泳ぐより、船のほうがよかろうじゃないか。」 警備員は望遠鏡で岸ちかく通りすぎる荷船を見ていたが、 「そんならいいだろう。燈台にボートぐらい用意してあるといいん....