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菎
「菎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
菎の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
わし》は東京でごわす」 と恍《とぼ》け顔に言|淀《よど》んで、見れば手に提げた
菎蒻《こんにゃく》を庭の隅《すみ》へ置きながら蹣跚《よろよろ》と其処へ倒れそうに....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
達は炬燵の周囲に集った。隠居は古い炬燵板を取出して、それを蒲団の上に載せ、大丼に
菎蒻と油揚の煮付を盛って出した。小皿には唐辛の袋をも添えて出した。古い布で盃を拭....
「家」より 著者:島崎藤村
を始めたお俊の側には、お延が立って井戸の水を汲んだ。 「ああ、今日は朝から身体が
菎蒻のように成っちゃった。牛蒡のようにピンとして歩けん――」 こんなことをお延....
「黴」より 著者:徳田秋声
がよかった。 気が塞って来ると、笹村はぶらぶら家の方へ行って見た。家には近所の
菎蒻閻魔の縁日から買って来た忍が檐に釣られ、子供の悦ぶ金魚鉢などがおかれてあった....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
有志諸君の万歳を呼ぶ。其れから丑之助君を宅へ送って、いよ/\飲食だ。赤の飯、刻※
菎蒻里芋蓮根の煮染、豆腐に芋の汁、はずんだ家では菰冠りを一樽とって、主も客も芽出....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
た時、豊村は丁度二十一になっていたのである。 抽斎の好んで読んだ小説は、赤本、
菎蒻本、黄表紙の類であった。想うにその自ら作った『呂后千夫』は黄表紙の体に倣った....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
うと洒落に見えるが、何、無精たらしい雇婆さんの突掛けの膳で、安ものの中皿に、葱と
菎蒻ばかりが、堆く、狩野派末法の山水を見せると、傍に竹の皮の突張った、牛の並肉の....
「我が宗教観」より 著者:淡島寒月
また心に掛けて語録の類や宗教書を三倉や浅倉で買った事もありました。その宗教書も、
菎蒻本や黄表紙を売った時、一緒に売ってしまいました。かく禅以外にもいろいろの宗教....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
「どうかその、疼くだけでも早く医者の力で直らないものかねえ! あまり痛むなら、
菎蒻でも茹でて上げようか?」 「なに、懐炉を当ててるから……今日はそれに、一度も....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
「成程、舞台|傍の常茶店では、昼間はたしか、うで玉子なぞも売るようです。お定りの
菎蒻に、雁もどき、焼豆府と、竹輪などは、玉子より精進の部に入ります。……第一これ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
から、誘い手のある引汐に会場を出たのです。 「――何、植物園から豆府地蔵、不如、
菎蒻閻魔にさ。煮込んでも、味噌をつけても、浮世はその事だよ。俺もこの頃じゃ、大船....
「伝通院」より 著者:永井荷風
縁日の事からもう一人私の記憶に浮び出《いづ》るものは、富坂下《とみざかした》の
菎蒻閻魔《こんにゃくえんま》の近所に住んでいたとかいう瞽女《ごぜ》である。物乞《....