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菓子器
「菓子器〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
菓子器の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夜」より 著者:夏目漱石
笑う。一疋の蟻は灰吹《はいふき》を上りつめて絶頂で何か思案している。残るは運よく
菓子器の中で葛餅《くずもち》に邂逅《かいこう》して嬉しさの余りか、まごまごしてい....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ら一層改まって、畳二畳半ばかり隔てて父の前に座した。紫檀の盆に九谷の茶器|根来の
菓子器、念入りの客なことは聞かなくとも解る。母も座におって茶を入れ直している。お....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
に有力な慰藉者を得たように思われた。 主客の間には陶器の手爐りが二つ置かれて、
菓子器には金米糖が入れられてあった。主僧とは正反対に体格のがっしりした色の黒い細....
「黒髪」より 著者:近松秋江
「ええお人形さんどっすやろ」 私は「うう」と、ただ答えたが、その人形や塗り物の
菓子器の彼方にいろいろな男の影が見えるような気がした。 女はよく二つ並べた箪笥....
「黴」より 著者:徳田秋声
こへ来たのは、ついこのごろであった。ある日の午後、どこかの帰りに、笹村が硝子製の
菓子器やコップのようなものを買って、袂へ入れて帰って来ると、茶の室の長火鉢のとこ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
塗盆の上に煤けた土瓶と粗末な茶碗|二個とを載せて、左手にはカステラを山盛りにした
菓子器を捧げながら、ヨチヨチと大|卓子に近づいて、不思議そうな顔をして見ている正....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
い色で。」 二十七 「青葉の影の射す処、白瀬戸の小鉢も結構な青磁の
菓子器に装ったようで、志の美しさ。 箸を取ると、その重った茄子が、あの、薄皮の....
「「禰宜様宮田」創作メモ」より 著者:宮本百合子
しかね、……ハイ昔のおはなし、桃太郎 彼は長火鉢の上にのって居たくりものの桃の
菓子器か何かをさした。 ○三太郎と云う猫がひろって育ててある。 ○九谷の茶碗....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
酷いな……それから菓子を入れる皿でも蓋が出来るような蓋物を持って来て、宜いかえ、
菓子器をお願いだから……宜しく万事此処へこう置いて……お茶は鞄の中にあります、茶....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と気に留った事があります。 少い女が持出した、金蒔絵の大形の見事な食籠……形の
菓子器ですがね。中には加賀の名物と言う、紅白の墨形の落雁が入れてありました。とこ....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
ーカンおくれよ」 「ダメ」 と、冷めたく一言、自分がたべるだけ食べてしまうと、
菓子器をかたづけて、 「ねえ、アンタ。アンタの社で、私をいくらで使ってくれる。タ....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
って、地袋を開くと中に新刊らしい書籍が薄暗の中から金文字を輝かしている。横には、
菓子器と歌留多の箱があったので叮嚀に何れも蓋を取て中を検べ、軈てもとのようにする....
「江戸の化物」より 著者:岡本綺堂
、池に向かった縁側のところで、茶を飲みながら話をしていましたが、そこへ置いてある
菓子器の菓子が、夕闇の中をふいふいと池の方へ飛んでゆきます。二人は不思議に思って....
「挿話」より 著者:徳田秋声
出るのを億劫にしていた。 そんな話をしているところへ、届けてきた月並を、お絹は
菓子器に盛って、道太の前へ持ってきた。 「お茶をいれましょうか」 「そうね。何ん....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
りまして、人が来ると茶盆が出る、古染附の茶碗|古薩摩の急須に銀瓶が出る、二ツ組の
菓子器には蒸菓子と干菓子が這入ってありますという、万事手当が届いて居りまする。若....