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菜っ葉服
「菜っ葉服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
菜っ葉服の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さいアルバム」より 著者:太宰治
もじっとしていないので、撮影の計画を放棄するより他は無かったでしょう。それでも、
菜っ葉服を着て銀座裏のバアの前に立っている写真など、二、三枚あった筈ですが、いつ....
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
私は未《ま》だ極道《ごくどう》な青年だった。船員が極り切って着ている、続きの
菜っ葉服が、矢っ張り私の唯一の衣類であった。 私は半月余り前、フランテンの欧洲....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
どの努力をはらったのは、慾得をはなれた考えからであった。電機工をしていた頃、彼の
菜っ葉服のポケットには村口多鶴子のプロマイドがはいっていたこともあった。といって....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
のだ。愛人が必要なのだ。だが、今の社会で口のあいた靴《くつ》をはいて、油だらけの
菜っ葉服を着て、足の踵《かかと》のように堅い手の皮を持った、金をそのくせ持ってい....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
体にぶつかってしまった。 三 屍体は第一のそれと同じ様に、
菜っ葉服を着、従業員の正帽を冠った、明かに73号の機関手で、粉雪の積った砂利面の....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
。
「大丈夫なんですか!」
「ええ体の節々が痛いんです。」
店の間では商売物の
菜っ葉服を小父さんが縫っているらしい。ジ……と歯を噛《か》むようなミシンの音がし....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
のとき、こっちじゃ五ヵ年計画を三つも四つもやっといて、飛行機で〔十二字伏字〕!」
菜っ葉服にオガッ屑をつけ、鳥打帽をかぶった鼻の赤い木工らしいのが、 「おめ、おめ....
「道標」より 著者:宮本百合子
ンゲルスガールだとかいう流行語があった。伸子はあんまり出会ったことがなかったが、
菜っ葉服をきた若い男女が銀座をのしまわすことが云われていた。その時分、ジャーナリ....
「ココナットの実」より 著者:夢野久作
ウルフの両手を掴んでいた運転手が手を離して、グルリと相手の横ワキへまわった。その
菜っ葉服のポケットの中でピストルを構えているのが真上から見ているせいか、よくわか....
「幼年時代」より 著者:堀辰雄
その内側が一めんに火だらけになって見えるような作業場の中から、てかてか光るような
菜っ葉服をきた、彼女の父親らしいものが姿をあらわした。たかちゃんがその傍に走って....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
だ寝わすれている。 「暑くてやり切れねえ!」 機関室から上って来た、たくましい
菜っ葉服を肩にかけた船員が朱色の肌を拡げて、海の涼風を呼んでいる。 美しい風景....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
平児たちが落語協会を脱退。浅草の橘館と牛込亭へ立て籠って、当時台頭の左翼もどき、
菜っ葉服よろしく自らサンドイッチマンとなってビラをまいて歩いたのも同じ頃だった。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ていた。無論|腕木の支柱があり、黒鉄の上下|槓が横斜めに構えてはいた。その把手を
菜っ葉服の一人が両手でしっかと引き降しに圧えた刹那である。 椴松の伐りっぱなし....