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「菜園〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

菜園の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
も「水滸伝」を読み返した。のみならず本を開かぬ時にも替天行道の旗や景陽岡の大虎や菜園子張青の梁《はり》に吊《つ》った人間の腿《もも》を想像した。想像?――しかし....
雪後」より 著者:梶井基次郎
彼らは東京の郊外につつましい生活をはじめた。櫟林《くぬぎばやし》や麦畠や街道や菜園や、地形の変化に富んだその郊外は静かで清《すが》すがしかった。乳牛のいる牧場....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ラックや壕舎があたりに群立し、再起の意気込みすさまじく、日本人かなと感じ入った。菜園にはすでに芽も青々と出ているし、風呂二つも今明日より入れるそうだし、髪床も数....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
様が作られている、古風な鉄柵縁が張り出されてあった。そこからは、裏庭の花卉園や野菜園を隔てて、遠く表徴樹の優雅な刈り籬が見渡される。暗く濁って、塔櫓に押し冠さる....
私の父」より 著者:堺利彦
じりの姿である。ことに、越中褌一つで、その前ごをキチンと三角にして、すっぱだかで菜園の中に立っている姿が、今も私の目の前に浮ぶ。五日に一度くらい働きにくる小六と....
骸骨館」より 著者:海野十三
少年たちは、遊び方に困っていたし、また遊ぶ場所もなかった。 家と道のほかは、どこも青々とした家庭菜園であった。道さえも、その両側がかなり幅をとって菜園になっており、その道を子供....
連環記」より 著者:幸田露伴
面目さ、おとなしさは、何という人柄の善いことだろう。凡そ屋舎十の四、池水九の三、菜園八の二、芹田七の一、とあるので全般の様子は想いやられるが、芹田七の一がおもし....
転機」より 著者:伊藤野枝
ちに、道の片側にはきれいに耕された広い畑が続いていて、麦が播いてあったり、見事な菜園になっていたりする。畑のまわりには低い雑木が生えていたり、小さな藪になってい....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
としても、我々の文化は健康だ。我々の伝統も健康だ。必要ならば公園をひっくり返して菜園にせよ。それが真に必要ならば、必ずそこにも真の美が生れる。そこに真実の生活が....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
郷里から次姉が迎えられたが、この不自由な佗住居で炊事の手伝をしていた。ささやかな菜園にわずかに萌え出た小松菜を摘んで朝々の味噌汁の仕度をする。そんな生活の様子が....
火の扉」より 著者:岸田国士
じみのない年寄りに声をかけるのがおつくうであつた。明らかに技術の不足を感じさせる菜園が目につく。しかし、なまじつかな指導は真つ平という気風があるから、うつかり口....
岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
君が胃を患つていて、その計画はフイになつた。 ちようど私たちがはいつて行くと、菜園になつている前庭のなかに、夕陽を浴びた二人の女性の、甲斐々々しく草むしりをし....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の励になる。 (第三の臣に。) 次にお前には光禄卿を申附ける。猟の事、鳥屋、菜園の事は、今後お前に受け持たせる。 月々出来る物の中で、好な物を選ることは 己....
彼等流浪す」より 著者:小川未明
れつゝ工場から工場へ、時に、海を越えて、何処と住居を定めぬ人々にとっては、一坪の菜園すら持たないのである。けれど、彼等は、それを、真に不幸とは思わないだろうか?....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
で、何か親しい秋雨のような細かな霧雨も降り出して来た。 * この菜園でも、白い蝶のひらひらが低く、燕麦の穂から穂へわたっていた。蝶の翅も幽かに雨....