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「菜種〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

菜種の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
いう決心をした。それでどうしたかというと、川辺の誰も知らないところへ行きまして、菜種《なたね》を蒔《ま》いた。一ヵ年かかって菜種を五、六升も取った。それからその....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
光、見るから暖かき田圃のおちこち、二人三人組をなして耕すもの幾組、麦冊をきるもの菜種に肥を注ぐもの、田園ようやく多事の時である。近き畑の桃の花、垣根の端の梨の花....
菜の花」より 著者:小島烏水
なった、近頃は不思議なほど、菜の花が郊外から影を隠した、物価も租税も高くなって、菜種の油などを、搾っていては、割に合わぬから、もっと金の儲かるものを植えるのに、....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
しながら……。 中庄から筥崎までタップリ一里ぐらいはあったろう。途中の田圃には菜種の花が一面に咲いていた。涯てしもなく見晴らされる平野の家々に桃や桜がチラホラ....
春昼」より 著者:泉鏡花
房の胸にも、海の波は映らぬらしい。 通りすがりに考えつつ、立離れた。面を圧して菜種の花。眩い日影が輝くばかり。左手の崕の緑なのも、向うの山の青いのも、偏にこの....
薬草取」より 著者:泉鏡花
度もはっと思っちゃ、危さに自然に目を塞ぐ。その目を開ける時、もし、あの丈の伸びた菜種の花が断崕の巌越に、ばらばら見えんでは、到底この世の事とは思われなかったろう....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
に煙りつつ、仙台に着いた時分に雨はあがった。 次第に、麦も、田も色には出たが、菜種の花も雨にたたかれ、畠に、畝に、ひょろひょろと乱れて、女郎花の露を思わせるば....
次郎物語」より 著者:下村湖人
年が明けた。愛されるものにも、愛されないものにも、時間だけは平等に流れてゆく。菜種の花がちらほら咲きそめる頃には、次郎もいよいよ学校に通い出した。彼は学校に行....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の垣根の方は竹藪で、下にたくさん筍が生えていたが生憎ナマで役に立たない。そのほか菜種があったが実を結び、芥子菜は花が咲いて、青菜は伸び過ぎていた。 阿Qは試験....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
大濤の雪の風情を思いながら、旅の心も身に沁みて通過ぎました。 畷道少しばかり、菜種の畦を入った処に、志す庵が見えました。侘しい一軒家の平屋ですが、門のかかりに....
次郎物語」より 著者:下村湖人
「さようなら!」 と叫び、それから急に足を早めた。 ちらほら咲き出していた菜種の花が、うす日をうけて膚寒い春風の中にそよいでいた。次郎にはいやにそれが淋し....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
この雨は間もなく霽れて、庭も山も青き天鵞絨に蝶花の刺繍ある霞を落した。何んの余波やら、庵にも、座にも、袖にも、菜種の薫が染みたのである。 出家は、さて日が出口から、裏山のその蛇の矢倉を案内....
想い出」より 著者:佐藤垢石
酒匂川筋では稀であって、多くは石亀(川虫)を餌にした虫釣りか、十本五銭位で買える菜種鈎という黄色い粗末な毛鈎で、浮木流しをやっているのと、職業漁師が友釣りとゴロ....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
一緒にいると我儘をいうのも時間制度よ。 アンリーはあたしを燃やし尽そうとする。菜種油で自動車を動かそうとする。 触って呉れずに愛して呉れたらねえ。 まわり....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
みならず、本堂の中には三千五千のバタの燈明が燈って居るです。バタの光というものは菜種油の光よりも非常に白く、ちょっとガスの火に似て余程明るいです。 そういう中....