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「萌葱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

萌葱の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
ばかり、くびれるほど固く巻いた扱帯に手拭を挟んで、金盥をがらん、と提げて、黒塗に萌葱の綿天の緒の立った、歯の曲った、女中の台所|穿を、雪の素足に突掛けたが、靴足....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
小座敷に炬燵があって、床の間が見通される。……床に行李と二つばかり重ねた、あせた萌葱の風呂敷づつみの、真田紐で中結わえをしたのがあって、旅商人と見える中年の男が....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
十七というにしては頗るおとなびていた。痩せてはいるが背も高い方で、うすい桃色地に萌葱のふちを取った絹の着物を着て、片手を老女にひかれながら、片手の袖は顔半分をう....
春昼」より 著者:泉鏡花
かって、御堂は屋根のみ浮いたよう、緑の雲にふっくりと沈んで、山の裾の、縁に迫って萌葱なれば、あま下る蚊帳の外に、誰待つとしもなき二人、煙らぬ火鉢のふちかけて、ひ....
青年」より 著者:森鴎外
着物は新大島、羽織はそれより少し粗い飛白である。袴の下に巻いていた、藤紫地に赤や萌葱で摸様の出してある、友禅縮緬の袴下の帯は、純一には見えなかった。シャツの上に....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
。 銀杏の葉ばかりの鰈が、黒い尾でぴちぴちと跳ねる。車蝦の小蝦は、飴色に重って萌葱の脚をぴんと跳ねる。魴※の鰭は虹を刻み、飯鮹の紫は五つばかり、断れた雲のよう....
黒百合」より 著者:泉鏡花
とんどその半身を蔽うまで、堆い草の葉|活々として冷たそうに露を溢さぬ浅翠の中に、萌葱、紅、薄黄色、幻のような早咲の秋草が、色も鮮麗に映って、今踏込むべき黒々とし....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
蒲、牡丹の造り花は飾ったが、その紅紫の色を奪って目立ったのは、膚脱の緋より、帯の萌葱と、伊達巻の鬱金縮緬で。揃って、むら兀の白粉が上気して、日向で、むらむらと手....
源氏物語」より 著者:紫式部
れぬだけの美容のある人で、聡明らしい品のよさが見えた。柳の色の厚織物の細長に下へ萌葱かと思われる小袿を着て、薄物の簡単な裳をつけて卑下した姿も感じがよくて侮ずら....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
だされ、船端に立って檜扇をかざし、敵をまねいて射よという。やがて源氏の武者一騎、萌葱おどしの鎧きて、金覆輪の鞍置いたる黒駒にまたがり、浪打ちぎわより乗入ったり。....