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萠
「萠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
萠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
った折紙すらもが今は愚かな位です。大振袖に胸高な帯をしめて、見るから水々しげな薄
萠黄色のお高僧頭巾にすっぽりと面《おもて》を包み、肩のあたりの丸々とした肉付き、....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
す》である、人間一人が生きながらの搾滓と為って了ったのだ、清風も有り清水も有り、
萠え出る草の緑も咲き盛る花の紅も有る絶景の沃野を通り盡して索々《さくさく》の沙漠....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
十三で吟味の願いを出した。大三郎は組中でも評判の美少年で、黒の肩衣《かたぎぬ》に
萠黄《もえぎ》の袴という継※※を着けた彼の前髪姿は、芝居でみる忠臣蔵の力弥《りき....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
種子が、同一の土壌に埋められ、同一の環境の下に生い出ても、多様多趣の形態を取って
萠え出ずるというドフリスの実験報告は、私の個性の欲求をさながらに翻訳して見せてく....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
して、一つの風呂敷包みを持ち出して来た。濃い藍染めの風呂敷をあけると、中には更に
萠黄の風呂敷につつんだ二個の箱のようなものが這入っていた。 「ちょいと下を見てき....
「芥川の事ども」より 著者:菊池寛
にしていた夫人の令弟の発病など、いろいろ不幸がつづいていた。 それが、数年来|
萠していた彼の厭世的人生観をいよいよ実際的なものにし、彼の病苦と相俟って自殺の時....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
の史を閲読するも此の如き建設物は一個も有ること無し。地上の熱度漸く下降し草木漸く
萠生し那辺箇辺の流潦中若干原素の偶然相抱合して蠢々然たる肉塊を造出し、日照し風乾....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
山「誠に少ないがお母さんに此金で何ぞ温かい物でも買って上げて」 と紙入を出して
萠黄金襴の金入から取出しました、其の頃はガクで入って居りますから、何十両だか勘定....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
テ及狼藉』――と云うようになってしまった。……槍鉄砲を持ち歩くに至っては、内乱の
萠と云ってもよい。が、それはそれほどまでに、失業知識階級の――浪人者の心境が、荒....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
酒肴が徹せられた、甚内は寝間へ誘われたが、容易にお米の寝ないのを見るとちと不平も
萠して来る。で、蒲団の上へ坐り、不味そうに煙草を喫い出した。 「お米」と甚内はや....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
物である獅子の豺としてのカートンと、同じく作中人物のクランチャー夫妻とについての
萠芽的な思付きが記されている。しかし、五八年の五月にはディッケンズは妻のキャサリ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ざるよ」 「余寒で一句出来ませんかな」「さようさ、何かでっち上げましょうかな。下
萠、雪解、春浅し、残る鴨などはよい季題だ」「そろそろうぐいすの啼き合わせ会も、根....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
珊瑚のように挾まっている可愛らしい素足を運ばせ、塚を下りた。そうして、塚の裾に、
萠黄色の座布団を敷いた躄り車が、もうその座布団の上へ、落花を受けて、玩具かのよう....
「宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
かない。それで非常に困ったのを今も憶えている。 新しい舞台芸術の
萠芽 幸いに、この処女公演の成功の波にのって、その公演回数は春、夏、秋、冬の年....
「郊外生活の一年」より 著者:岡本綺堂
の花の下かげに小さく横たわっている私の家は絵のようにみえた。戸山が原にも春の草が
萠え出して、その青々とした原の上に、市内ではこのごろ滅多に見られない大きい鳶が悠....