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萱草
「萱草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
萱草の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
岸の叢の中には、それを着ものの紐《ひも》につけると物を忘れることができるという
萱草《わすれぐさ》も生えていたが、翁はそれも摘まなかった。せめて悩んでいてやるこ....
「夏秋表」より 著者:立原道造
してひらく花である。ゆうすげという名を或るひとから習った。そのあと植物学ぶ人から
萱草、わすれぐさ、きすげと習い、また時経てその花びらを食用にすることまでも習った....
「山椒大夫」より 著者:森鴎外
者と見える。名はわしがつけてやる。姉はいたつきを垣衣《しのぶぐさ》、弟は我が名を
萱草《わすれぐさ》じゃ。垣衣は浜へ往って、日に三|荷《が》の潮を汲め。
萱草は山へ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た男は、それっきり影も見せぬ。
百草園
田の畔に赭い百合めいた
萱草の花が咲く頃の事。ある日太田君がぶらりと東京から遊びに来た。暫く話して、百草....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
を好まず。 ちとやそっとの、ぶんぶんなら、夜具の襟を被っても、成るべくは、蛍、
萱草、行抜けに見たい了簡。それには持って来いの診察室。装飾の整ったものではないが....
「源氏物語」より 著者:紫式部
いてふくれた髪の横に見えるのがはなやかに見えた。紅の黄がちな色の袴をはき、単衣も
萱草色を着て、濃い鈍色に黒を重ねた喪服に、裳や唐衣も脱いでいたのを、中将はにわか....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ちの庭をあちらこちら歩いて涼をとろうとするのをのぞこうとした。濃い鈍色の単衣に、
萱草色の喪の袴の鮮明な色をしたのを着けているのが、派手な趣のあるものであると感じ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
いのは惜しいような美しい恰好で浮舟の姫君はいるのであった。淡鈍色の綾を着て、中に
萱草色という透明な明るさのある色を着た、小柄な姿が美しく、近代的な容貌を持ち、髪....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
は、あなたが今旅のやどりに仮小舎をお作りになっていらっしゃいますが、若し屋根葺く
萱草が御不足なら、彼処の小松の下の
萱草をお刈りなさいませ、というのである。 中....
「イーハトーボ農学校の春」より 著者:宮沢賢治
《ちかけい》でも、月光いろの甘《あま》い樹液《じゅえき》がちらちらゆれだし、早い
萱草《かんぞう》やつめくさの芽《め》にはもう黄金《きん》いろのちいさな澱粉《でん....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
に対してこの字を使うのはじつは間違いであることを知っていなければならない。これは
萱草《カンゾウ》と書かねばその名にはなり得ない。ワスレグサの苗を食ってみると、根....