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萼
「萼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
萼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
しません。その玉のような白い花は、御釈迦様の御足《おみあし》のまわりに、ゆらゆら
萼《うてな》を動かして、そのまん中にある金色の蕊《ずい》からは、何とも云えない好....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
のです。又、まんまるにふくらんだ白い蕾《つぼみ》が、内に燃える発動《はつどう》を
萼《がく》のかげに制御《せいぎょ》しながら、自分の爆発する時期を待っているのもい....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
には柄が無い。葉序は互生、基部狭隘、辺縁に鋸歯状の刻裂がある。四枚の花弁と四個の
萼、花冠は大きく花梗は長い。雄蕊は無数で雌蕊は一本、花弁散って殼果を残し、果は数....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
窓一ぱいにあんなに見事に咲いていた桜の花も、おおかた散ってしまって、いまは赤黒い
萼だけが意地わるそうに残っている。僕は、いろいろの事を考えた。おととい僕は、「む....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
木を植え込んだ園内を歩いて、若木の梅の下に立った。成程咲いた、咲いた。青軸また緑
萼と呼ばるゝ種類の梅で、花はまだ三四輪、染めた様に緑な
萼から白く膨らみ出た蕾の幾....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
雪を象ったようである、卵形の白い花が八弁、一寸位の小さい花梗の頭に、同じく八個の
萼を台にして、安住している、同じ日本アルプスでも、他所の長之助草に比べて、花でも....
「糸車」より 著者:寺田寅彦
子供の自分の目に映じた棉の花は実に美しいものであった。花冠の美しさだけでなくて花
萼から葉から茎までが言葉では言えないような美しい色彩の配合を見せていたように思う....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ある仏の花を見るような――。 ひとり言しながら、じっと見ているうちに、花は、広い
萼の上に乗った仏の前の大きな花になって来る。其がまた、ふっと、目の前のささやかな....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
が一度どくだみに白い花が咲いて、それが四弁だと数えているが、あれは植物学上、実は
萼片に当るもので、花びらではないというのである。それだけのことを注意するためにわ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
が、誰も見ていない。 で、そろそろと帯を解いて。一枚々々衣装を脱ぐ、花の蕾が
萼から花弁と、――一枚々々、一枚々々と――だんだんほぐれて行くようである。 と....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
彼の観察は狂わなかった。頼母は、凋んだ朝顔を逆さに懸けたような形の紙帳の、その
萼にあたる辺を睨み、依然として刀を構えていたが、次第に神気が衰え、刀持つ手にしこ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
る。
目はまじろいて、耳はおどろく。
耳も及ばない響は聞えない。
潜り入れ、花の
萼に、
深く、深く、岩の迫間、
木の葉の蔭に閑かに住むために。
あの音に出合った....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
四月中旬のことである。曇った日で、門前の吉野桜の花はすっかり散り落ち、枝には赤い
萼が点々と残っている。素子は桜の梢の方へ目を遣ってから、門を入った。玄関では、満....
「澪標」より 著者:外村繁
こへしゃがみ込む。 雨の中に柘榴の花が咲いている。朱塗りの小燭台のような、堅い
萼《がく》の上に、数片の赤い花弁が乱れている。雨は屋根の瓦を打ち、軒廂《のきびさ....
「落日の光景」より 著者:外村繁
、可憐な花びらが盛んに散っている。その枝先には、花弁の散った後に残っている、赤い
萼が既に目立つばかりになっている。 椿は枝一杯に赤い花をつけている。この椿は郷....