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落し込む
「落し込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落し込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
撮《つま》んだ手を裏返して、拾った物を、指の谷から滑らして掌《てのひら》のなかに
落し込む。掌の向《むき》を上下に易《か》えると、長い軸は、ころころと前へ行き後《....
「機械」より 著者:横光利一
ぬ仕事の中で私の仕事だけは特に劇薬ばかりで満ちていて、わざわざ使い道のない人間を
落し込む穴のように出来上っているのである。この穴へ落ち込むと金属を腐蝕させる塩化....
「死後」より 著者:正岡子規
葬であるが、其土葬という事も余り感心した葬り方ではない。誰れの棺でも土の穴の中へ
落し込む時には極めていやな感じがするものである。況して其棺の中に自分の死骸が這入....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
をしている上に、万一あぶないとなれば鼻の先で手を洗う振りをしながらソッと水の中に
落し込む。その大胆巧妙さといったら実に舌を捲くばかりで、天勝の手品以上の手練を持....
「ココナットの実」より 著者:夢野久作
妾達の食卓になっていた。その前に据っている色真綿の肘掛椅子の中に妾の身体を深々と
落し込むと、その上から緞子の羽根布団を蔽いかぶせて、妾の首から上だけ出してくれた....
「旅愁」より 著者:横光利一
だった。ここの造園家は夜の人間の眼まで考えて樹を植えたのだと、急に矢代は幾重にも
落し込む陥穽を見る思いで腹立たしくさえなって来た。しかし、千鶴子に声を出させるこ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
と今度は、調帯が幡江を載せたまませり上って行って、その儘前方の、切り穴から奈落に
落し込むのである。 所が、血の滴りは、調帯の恰度中央辺から始まっていて、最初の....
「上海」より 著者:横光利一
追っていった。しかし、彼がそのまま秋蘭の後から追っていくことは、彼女を一層危機へ
落し込むことと同様だと思った。彼女は優しげにすらりとした肩をして、一度ちらりと彼....