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「落つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

落つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
むずかしいユダヤの老爺《ろうや》のように、ぶつぶつ口小言を言う水の色が、いかにも落ついた、人なつかしい、手ざわりのいい感じを持っている。そうして、同じく市《まち....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《しょほう》を聞いた時、かすかに動いたのが気がかりだった。 しかしその話が一段落つくと、谷村博士は大様《おおよう》に、二三度独り頷《うなず》いて見せた。 「い....
路上」より 著者:芥川竜之介
を伺っている内に、自分も気が違っているような気がして参りました。」 説明が一段落ついた所で、初子はことさら真面目な顔をしながら、ため息をつくようにこう云った。....
るしへる」より 著者:芥川竜之介
だつ》の智なりとは。然らば彼《かれ》安助《あんじょ》を造らば、即時に科《とが》に落つ可きと云う事を知らずんばあるべからず。知らずんば、三世了達《さんぜりょうだつ....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ていた。机を向かい合わせた同僚にも格別異状などは見えなかったそうである。が、一段落ついたと見え、巻煙草《まきたばこ》を口へ啣《くわ》えたまま、マッチをすろうとす....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
宝玉も、指環も、紅、紫の鱗の光と、人間の目に輝くのみです。 美女 あれ。(椅子を落つ。侍女の膝にて、袖を見、背を見、手を見つつ、わななき震う。雪の指尖、思わず鬢....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
でございます。』覚えずそう言って御免を蒙って了いましたが、この事は大へん私の心を落つかせるのに効能があったようでございました。 まだ外にもいろいろありますが、....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
の如く稀であるべきは、元よりいうまでもない。それ丈けそう言った人格は尊い。友よ、落ついた、熱心な、そして誠実な哲学者の心を以て心とせよ。又慈悲深く、寛厚にして、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
流の巌から巌へ、中洲の大巌で一度中絶えがして、板ばかりの橋が飛々に、一煽り飜って落つる白波のすぐ下流は、たちまち、白昼も暗闇を包んだ釜ヶ淵なのである。 そのほ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
砂利を敷いた門の中を眺め、「漱石山房」の芭蕉を思い出しながら、何か僕の一生も一段落ついたことを感じない訣には行かなかった。のみならずこの墓地の前へ十年目に僕をつ....
狂女」より 著者:秋田滋
んで眼中にないかのように、例によって例のごとく、じいッとしたままだった。 この落つき払った沈黙を、将校は、彼女が自分にたいして投げてよこした最高の侮蔑だと考え....
」より 著者:秋田滋
つづいている間は、驚きと恐怖のあまり、わたくしにはもう何がなにやら解らなくなり、落ついて物を考えることなどは出来なかったのであります。彼女が死んでしまうと、劇し....
良夜」より 著者:饗庭篁村
一の俊傑なりしか、この県下に第一ならば全国の英雄が集まる東京に出るとも第二流には落つまじと俄かに気強くなりて、密かに我腕を我と握りて打笑みたり。この頃の考えには....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
荒縄には秋の草のみだれ咲、小雨が降るかと霧かかって、帯の端|衣服の裾をしたしたと落つる雫も、萌黄の露、紫の露かと見えて、慄然とする朝寒。 真中に際立って、袖も....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
んで行く草鞋をややもすると辷らせようとする。一二尺はおろか時によると二三尋も辷り落つることがある。辛うじて木株や松の根方などで踏み止まる。踏み止まるというより其....