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落涙
「落涙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落涙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
を上げてそこな男女《ふたり》を見ることが出来ぬ、何か胸がキヤキヤして、はらはらと
落涙《らくるい》した。
婦人《おんな》は目早く見つけたそうで、
(おや、貴僧《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
様子で、ただ上の空で聞いて首だけ垂れていたが、かえって襖の外で、思わずはらはらと
落涙したのはお蔦である。 何の話? と声のはげしいのを憂慮って、階子段の下でそ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
一輪。 採って前髪に押頂いた時、私の頭を撫でながら、余の嬉しさ、娘ははらはらと
落涙して、もう死ぬまで、この心を忘れてはなりませんと、私の頭に挿させようとしまし....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
二人は、嫉しいが、羨しい。姥、おとなしゅうして、あやかろうな。 姥 (はらはらと
落涙して)お嬉しゅう存じまする。 白雪 (椿に)お前も唄うかい。 椿 はい、いろ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
君の御情の露を取次ぎ参らする、乳の滴ぞ、と袂を傾け、差寄せて、差俯き、はらはらと
落涙して、 「まあ、稚児の昔にかえって、乳を求めて、……あれ、目を覚す……」 ....
「女客」より 著者:泉鏡花
そうにいう顔を、じっと見る見る、ものをもいわず、お民ははらはらと、薄曇る燈の前に
落涙した。 「お民さん、」 「謹さん、」 とばかり歯をカチリと、堰きあえぬ涙を....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
百合若の矢のあとも、そのかがみよ、と見返る窓に、私は急に胸迫ってなぜか思わず
落涙した。 つかつかと進んで、驚いた技手の手を取って握手したのである。 そこ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
と云って、俯向く背を、人目も恥じず、衝と抱いて、手巾も取りあえず、袖にはらはらと
落涙したのは、世にも端麗なお町である。 「お手を取ります、お爺様、さ、私と一所に....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
居て、何でこうまで迷うたやら、堪忍しておくれや。」 とて、はじめて、はらはらと
落涙した。 絶入る耳に聞分けて、納得したか、一度は頷いたが、 「私は、私は、御....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
のように覚えている、谷の主とも謂いつべき居てつきの媼、いつもその昔の繁華を語って
落涙する。今はただ蚊が名物で、湯の谷といえば、市の者は蚊だと思う。木屑などを焼い....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
留めて下さいました。姉さん、私もう一度緋色の帯がしめたいわ。) と、はらはらと
落涙して、 (お恥かしいが……) ――と続いて話した。―― で、途中介抱しな....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
つつ日を暮らし、終に眠るがごとくにこの世を去り、静かに墓地に葬られた頃になると、
落涙を禁じ得ない。 前編に大体の伝記を述べて、後編に研究の梗概を叙することにし....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
優さんの、澄まして唄うのが聞こえました。」 小山夏吉は、声が切って、はらはらと
落涙した。 「お聞きになって、どう、お考えなさるでしょう? 私には、その時、三....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
んとして、それも得せず。酒の汚点で痣かと見ゆる、皮の焼けた頬を伝うて、こけた頤へ
落涙したのを、先刻から堪りかねて、上框へもう出て来て、身体を橋に釣るばかり、沓脱....
「活人形」より 著者:泉鏡花
の手ににじり書き、句の終りには夥しく血のぬらぬらと流れたるを見て、泰助はほろりと
落涙せり。 これを投げたるは、下枝か、藤か。目も当てられぬことどもかな。いで我....