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落着ける
「落着ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
落着けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
。旅に来て彼は何一つ贅沢《ぜいたく》を願おうではなかった。唯《ただ》、たましいを
落着けることのみを願った。彼にはその何よりも肝要なものが得られなかった。何故東京....
「光の中に」より 著者:金史良
間廊下はしんとなった。私も一寸ばかり面喰わずにはいられなかった。そこで努めて気を
落着けるようにしてこう云った。 「いずれ又会ってゆっくり話しましょう」 李はわ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ほのめかされました。この話は至極《しごく》実直に持ちかけられ、そうして自分の身を
落着けるには、決してためにならないところではないし、自分もまた身を落着けてから、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れば大抵の要領は書けますからね」
「ねえ、北原さん」
お雪は何と思ったか、腰を
落着けるようにして、籠の中の鳩を見ながら賢次の方にすりよって――
「北原さん、今....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
えた神農様の像が一軸|懸っておりまするので、小宮山は訳が解らず、何でもこれは気を
落着けるにしく事なしだと、下ッ腹へ力を入れて控えておりまする。またしても百万遍。....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
分の家でも見つけましたら、そりゃ姉さんに来て頂いてもようござんす。もう少し気分を
落着けるようにして下さい」 「
落着けるにも、落着けないにも、俺は別に何処も悪くな....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
っていった。そのことが後で気分にこだわったのを、却って反撥的に出て、平然と三階に
落着けるようになった。 「僕は此処にじっとしてるのが好きだ」と彼は女中達に云った....
「好人物」より 著者:豊島与志雄
うせいつかは打ち明けるにきまってるのだ。 とにかく、壁土が乾いて、彼女が自室に
落着けるようになったのは、よいことだ。その夜から僕は、寝室の真中に布団を敷かして....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
このへんで、なんだか、筆が乱れかけてきそうです。ちょっと煙草でも吸って、気を
落着けることにしましょう。お酒は一人では飲みませんのよ。爺やの辰さんこそ、一人で....
「白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
た。しかも彼の荘家訪問は、公然となされましたので、やがてそれが、周囲の人々の心を
落着ける結果をも斎したのでありました。 変事の夜、柳秋雲は陳慧君に伴われて、呂....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
それから田舎の兄へ手紙を書き、自分の火傷の跡のことなどこまごまと描き、田舎に身を
落着ける意向を述べました。田舎に帰農することは、彼にとっては、精神的なあらゆる浪....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
ものである。北村庄作もそれを感じた。そしてこの気持ちを大切なものとして、心の底に
落着けるために、制作に没頭しようとしたが、なかなかうまくゆかなかった。いろいろな....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
。かくて尽きぬとおもう時に、目をおきて見給へば、ほどなく大山に立りける杉の上にぞ
落着ける。殿下こゝはいづくの国、いかなる所ぞと宣まへば、是こそ都の西山、愛宕山と....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
の明い灯を見ると、何だか雪路のことが夢のように思われたから、自分でもしっかり気を
落着けるため、それから、筋道を謂わないでは、夜中に婦人ばかりの処へ、たとえ頼まれ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
とはこの絆を断ち切って彼女を夢より醒すことでもある。そして共に真実自由な涅槃海に
落着けるのである。今のままでは彼女も偶像を相手の夢の美しさにいつまでも中途半端な....