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葉擦れ
「葉擦れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
葉擦れの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
かになった。と、その静寂を破って、遠く、低い、木の枝を踏みつけるような、或は枝の
葉擦れのような、慌だしい跫音が私の耳を掠め去った。誰かが大急ぎで、密林の中を山の....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
げて制した。 直ぐ眼の前のひときわ大きな灌木の茂みの向うで、ガサガサと慌しげな
葉擦れの音がした。人々は足音を忍ばせて近寄った。茂みの蔭を廻ったところで、警部補....
「暴風雨に終わった一日」より 著者:松本泰
祝ってくれた父や母や伯母も、いまは墓石になって、わたしの植えた珊瑚樹《あおき》の
葉擦れの音を聞きながら、青山《あおやま》の墓地に眠っている―― と、伊東《い....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
れている。そこは怪盗七福神組だ。そこまで素早く走ったが、神妙を極めた潜行ぶりで、
葉擦れの音も立てなければ、足音一つ立てなかった。 と、松代だがピッタリと、雨戸....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
並べた膝に支えた両手の間に顔を挾んで安らかな形に落付いたお久美さんは眼を細めて、
葉擦れの音と潤いのある土の香りに胸から飛び出しそうな心臓の鼓動を鎮め様と努めた。....
「道連」より 著者:豊島与志雄
た。それでも不思議なことには、葦の葉を押し分けて通ってるのに、かさともさらりとも
葉擦れの音がしなかった。しいんとしたそして爽かな夜で、葦の葉の隧道の天井の少し開....
「ものの影」より 著者:豊島与志雄
いは、出会いがしらに、ひょいと横へ退いたのか。それはとにかく、足音一つせず、葦の
葉擦れの音もしなかった。葦の茂みはひそと静まり返っていて、その表面に、人影だけが....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
「門を破れ。押し込んで行け」 「いや今夜は引っ返したがいい」 彼らの囁やきは
葉擦れのようであった。 「あっ!」と一人が絶叫した。「あの人数は? 包囲された!....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
ッ!」と声をかけたのであった。 と、十数間のかなたから、木を潜って逃げて行く、
葉擦れの音が聞こえてきた。 (逃げたな)と要介は直ぐに思った。 「セ、先生エ――....
「唇草」より 著者:岡本かの子
で不手際に剥ぎながら、眼はぼんやり花畑を眺めていた。 チューリップがざわざわと
葉擦れの音を立て、花は狼藉に渦巻いた。風が吹くたびに、空気は揺れて、チューリップ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
、そのまた向こうがいちめんの畑になっていた。 秋寒い夜風の中で、小止みない竹の
葉擦れとともに、狐のなく声が聞こえた。 圓朝はここを先途と喋りまくったけれど、....