葉牡丹[語句情報] » 葉牡丹

「葉牡丹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

葉牡丹の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
令嬢アユ」より 著者:太宰治
示して、夏草を踏みわけ河原へ向った。草の露が冷たくて、いい気持。土堤にのぼる。松葉牡丹《まつばぼたん》が咲いている。姫百合《ひめゆり》が咲いている。ふと前方を見....
婦系図」より 著者:泉鏡花
五十二 田を行く時、白鷺が驚いて立った。村を出る時、小店の庭の松葉牡丹に、ちらちら一行の影がさした。聯る車は、薄日なれば母衣を払って、手に手にさ....
星あかり」より 著者:泉鏡花
と婆さんと二人で住む。門まで僅か三四|間、左手は祠の前を一坪ばかり花壇にして、松葉牡丹、鬼百合、夏菊など雑植の繁った中に、向日葵の花は高く蓮の葉の如く押被さって....
路傍の草」より 著者:寺田寅彦
捜し出すと見えて、ほとんど残りなしに抜き取ってしまうのである。たとえば向日葵や松葉牡丹のまだ小さな時分、まいた当人でも見つけるのに骨の折れるような物影にかくれて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
んは駕籠の隙間から、一枚の切手を投げ込みました。 若い衆の持って来た桐油には杏葉牡丹《ぎょうようぼたん》かなにかがついている。これは本願寺御坊専用の品か知ら…....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
これさえすますとこの種の予約はまぬがれます。 キャベジの葉のようなのというのは葉牡丹でしょう。それは、市民的正月の恒例である葉っぱです。外側の葉の枯れるのをは....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
寿草だのやぶ柑子《こうじ》だのがあるでしょうね。いつかキャベジのようなと仰云った葉牡丹はやめました、あれはいいようで何か陰気だから。 あなたの右の肩を三つ、そ....
田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
ら煙が上っていた。田原さんはただむやみとその庭に水を濺いだ。飛石の側には小さな松葉牡丹が黄色い花を開いていた。 庭に水をまき、暮れかかってぱっと明るい大空を仰....
魔都」より 著者:久生十蘭
石町の夕景の事 築地明石町、「住吉」の奥まった座敷。応挙の「蓬莱山図」と葉牡丹を根〆にした大きな苔松を背景にして、林謹直、道灌山前田組の大親分、それに林....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
acephala DC.(無頭すなわち無球の意)がこれにあたる。すなわち前々から葉牡丹《ハボタン》といっているものである。これはその葉が牡丹の花の様子をしている....
小説 円朝」より 著者:正岡容
れを実行した。 まず、黒羽二重五つところ紋の紋付をしつらえ、白地へ薄むらさき杏葉牡丹《ぎょうようぼたん》を織りなした一本|独鈷《どっこ》の帯しめた。燃ゆる緋い....